都福祉保健局と懇談

公開日 2022年10月08日

 協会は、小池百合子都知事に提出した「2023年度東京都予算等に関する請願」に基づき、9月8日に東京都福祉保健局と懇談した。当日は須田昭夫会長をはじめ、協会役員6人が2時間にわたり要請、意見交換を行った。

COVID―19検査体制の拡充

 COVID―19感染拡大第7波を迎え、これまでを大きく上回る感染者増に医療機関の負担は肥大化している。

 都からは、検査体制の拡充について、「診療・検査医療機関へのPCR等検査機器の整備に係る補助事業、医療機関への抗原検査キットの有償配布、都民へのPCR検査無料化事業等を実施してきた。今後も感染動向に応じた対策を講じ、必要な検査を実施していく」との回答があった。

 協会は、医療機関での検査が限界を迎えている実態を訴え、東京都による検査体制をさらに拡充することを強く要望し、加えて都の事業における検査で陽性判定となった場合へのフォローアップの徹底を求めた。

 また、HER―SYS等のCOVID―19に係るシステム入力が医療機関にとって大きな負担になっていることから、さらなる簡素化を国に要望するよう求めた。都からは、「HER―SYS、VRSに関して、医療機関や保健所の負担を考慮しながらシステムの改善を図るよう、国へ要望している」との回答があった。

保健所体制の拡充

 保健所は公衆衛生活動の中心的存在として国民の生活と健康を支えており、COVID―19の対応においても非常に大きな役割を果たしている。

 協会は、第7波に続くCOVID―19感染拡大や、COVID―19以外の新興感染症流行の可能性を見据え、保健所体制の抜本的・恒常的な拡充を求めた。都からは、「感染症対策に従事する保健師を2021年に11人、2022年に10人増員した。応援職員・有期職員の配置、業務の委託化等による保健所体制の強化・負担軽減に取り組んでいる」との回答があった一方、保健所の増設に関しては「検討中」との返答だった。

独法化後も公的病院の機能維持を

 2022年7月、都立・公社病院が独立行政法人化された。協会は、地域医療における公立・公的病院の役割の重要性を訴え、都立・公社病院が担っていた行政的医療が今後も担保されるよう要望するとともに、行政的医療に係る費用は、独法化前と同様に東京都が負担することを改めて確認した。都は、「都立病院機構の第一期中期計画(2022年7月~2027年3月)では、東京都が運営費負担金として2338億円、2022年度においては364億円の歳出を予定している。公衆衛生上の緊急事態に対しては、都の方針のもと、独法化後の都立病院も率先して対応する。COVID―19に対しても、都の担当部署と連携しながら対応している」と回答した。

生保受給者へのマイナカード取得を強制しない

 一部の都内自治体では、生活保護受給者に対し、マイナンバーカードを取得しなければ医療機関を受診できないかのような通知を行っている。

 都からは、参議院厚生労働委員会における付帯決議で「何らかの事情により個人番号カードを保有するに至っていない被保護者に対しては、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保すること」とされているとの回答があった。協会は、マイナンバーカードの取得があくまで任意であることを都に再確認し、生活保護受給者に対してマイナンバーカードの取得を強制しないよう、都内自治体を指導することを強く要望した。

 その他協会からは、子ども医療費助成の多摩地域格差是正、国保加入者・後期高齢者の保険料負担軽減、医療機関に対する個別指導の改善等、多岐にわたる要望を行った。

都政における保健・医療・福祉の多岐にわたる課題について、予算請願に基づいて要請・意見交換を行った(9月8日、東京都庁第2本庁舎)
 

(『東京保険医新聞』2022年9月25日号掲載)