オン資義務化「反対」63%

公開日 2022年10月28日

 東京保険医協会政策調査部は会員に対し、オンライン資格確認システム導入義務化に関するアンケート調査を行った。

 アンケートは、9月13日に会員医療機関4219件にFAXで送付し、9月28日までに都内616件の医療機関から回答を得た(回収率14・6%)。

14%が運用開始 カードリーダー未申請44%

 集計の結果、回答があった医療機関のうち55・5%がすでにカードリーダーを申込済みで、14・0%は実際に運用を開始していることが判明した。一方、44・5%はカードリーダーを申し込んでおらず、20・2%は導入の予定がないと回答している(グラフ1)。

34%がトラブルあり データ登録の不備多数

 「運用を開始している」と回答した86医療機関のうち、33・7%で運用に際してトラブルがあったことがわかった。トラブルの内容(複数回答可)については、62・1%が保険者によるデータ登録の不備など「データ上のトラブル」、41・4%が顔認証エラー・接続エラーなど「機器関連のトラブル」があったと回答した(グラフ2)。

オン資義務化・保険証廃止ともに反対が60%超え

 システム導入の義務化については賛成6・7%、反対63・3%、保険証の原則廃止については賛成7・0%、反対65・7%と、いずれも反対が賛成を大きく上回った(グラフ3・4)。

 また、オンライン資格確認に関して55・2%が「必要性を感じない」と回答した(グラフ5)。


拙速な義務化は中止を!

 現在のシステム導入率を鑑みても、4月からの義務化は現実的とは言い難い。マイナンバーカードの普及も進まない中、強引な義務化により医療機関に経済的・事務的負担を強いることがあってはならない。

 協会は、医療提供体制を堅持し地域医療を守るために、①2023年4月からのオンライン資格確認システム導入義務化の撤回、②保険証を原則廃止する方針を取り下げ、誰もが今まで通りに医療を受けられる体制を堅持すること、の2点を強く訴えていく。

保険証持参ポスター活用を

 マイナンバーカードで資格確認をした場合に保険資格が確認できないトラブル事例が報告されている。

 マイナンバーカードには被保険者記号番号も保険者名称も記載されていない。マイナンバーカードだけではトラブル時に患者も保険資格を証明できず、医療機関側も保険組合名すら把握できない事態が発生している。

 オンライン資格確認を実施している医療機関においても、患者に保険証を持参してもらうことが、トラブルを避け、確実に資格確認を行うために必要になってくる。療養担当規則上も保険証による資格確認は従来通り認められている。

 協会は「患者に保険証持参を呼びかけるポスター」を作成した。円滑に保険診療を行うためにも、待合室に掲示、または患者にチラシとして配布するなど、ぜひご活用いただきたい。

(『東京保険医新聞』2022年10月15日号掲載)