[声明]保険証を廃止する方針に強く抗議します

公開日 2022年11月01日

2022年10月19日

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿

デジタル大臣   河野 太郎 殿
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
総務大臣   寺田  稔 殿

           東京保険医協会
会   長  須田 昭夫

政策調査部長   吉田 章

保険証を廃止する方針に強く抗議します 

 

 

 

 

 

 

 河野太郎デジタル大臣は10月13日の記者会見で、「2024年度秋に、現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明し、保険証をマイナンバーカード(以下、マイナカード)と一体化させる方針を突如として発表しました。

 マイナカードの取得率は2022年9月末時点で49.0%(6,165万7,397人)であり、そのうち保険証として利用できる登録をした人は約41.6%(2,567万1,857人※10月10日時点)です。また、オンライン資格確認システムの運用開始施設は31.5%に留まっています(病院・医科歯科診療所・薬局の合計※2022年10月9日時点)。医科診療所に限ると21.4%に過ぎません。

 医療情報をはじめとする機微情報がマイナンバーに紐づけされ、利活用される仕組みは情報漏洩やプライバシー侵害のリスクを孕んでいます。普及が進まないのは、国民と医療機関がマイナンバー制度とオンライン資格確認システムに疑念を持ち、必要性を感じていないからです。

 日本弁護士連合会は9月27日、「『マイナ保険証』取得の事実上の強制に反対する会長声明」を発出し、「従来型保険証の原則廃止が想定されているのであり、『国民皆保険制度』を採用する我が国では、全国民に対してマイナカードの取得を強制するのに等しいのであって、番号法の申請主義(任意取得の原則)に反し、マイナカードの取得を事実上強制しようとするものにほかならない」と政府の方針を厳しく批判しています。

 医療機関窓口で保険証を提示して行う従来の資格確認は、国民皆保険制度の基盤であり、広く国民に定着しています。事実上の「取得義務化」は、マイナカードを持たない国民が保険医療を受けられなくなる事態を招きかねず、日本国憲法第25条に基づく国民の受療権を侵害するものです。

 当事者である国民と医療機関の声に耳を傾けない強引な政策は、医療現場に混乱をもたらし、世界に冠たる国民皆保険制度の歴史に汚点を残します。当会は、「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」という健康保険法の目的に反する保険証の廃止方針に強く抗議し、撤回を求めます。

 

以 上

保険証を廃止する方針に強く抗議します[PDF:108KB]