国会行動 保険証廃止 撤回求める

公開日 2022年11月07日

伊藤俊輔議員(衆・立憲/左から2人目)
川田龍平議員(参・立憲/左)
小池晃議員(参・共産/左から2人目)

  協会は10月20日、国会議員要請を行い、吉田章副会長、竹内真弓、細田悟、水山和之各理事が参加した。①健康保険証の廃止方針とオンライン資格確認の導入義務化の撤回、②75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止、③光熱費と物価の高騰に苦しむ医療機関への補助金充実―の3点について、全会派の東京都選出国会議員に要請した。また、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認システム導入義務化の撤回を求める医師署名」687筆と「オンライン資格確認システム導入義務化に関する会員アンケート結果」を議員室に届けた。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、川田龍平(参・立憲)、小池晃(参・共産)各議員本人および、末松義規(衆・立憲)、小野泰輔(衆・維新)、笠井亮(衆・共産)、宮本徹(衆・共産)、大石あきこ(衆・れいわ)、自見はなこ(参・自民)、田村智子(参・共産)、吉良よし子(参・共産)、舩後靖彦(参・れいわ)各議員秘書と面談した。

国民世論で保険証廃止方針の撤回を

 2024年秋に保険証を廃止する方針を表明した10月13日の河野デジタル大臣の記者会見について、協会は10月19日付で抗議声明を発出している。臨時国会が開会したもとで、保険証の廃止方針を中心に意見交換した。議員から「政府は来年の通常国会に、従来の保険証を廃止するためにマイナカードの取得を義務化する法案の提出を予定している」との情報が寄せられ、「国民の間で怒りが沸騰している。マイナカードの取得は一時的に進んだとしてもブレーキがかかってくるのではないか。国民的な大運動で保険証の廃止方針を跳ね返していく余地は十分にあり、そのために力を尽くしたい」「マイナ保険証だけではトラブル時に資格確認ができない事態に陥るのではないか。制度設計が稚拙で問題点が多すぎる。国民は今の政府を信用しておらず、理解を得られないだろう」など、国民世論の反発を受けて、保険証の廃止方針を撤回に追い込みたいとの発言があった。また、与党議員秘書からは「保険証を廃止する方針の発表が唐突で、現場の混乱を招いている点を懸念している。進め方が乱暴だ」との言及もあった。

マイナカード一本化の危険性を指摘

 保険証を廃止しマイナカードに一本化する狙いについて、議員から「政府はマイナンバーを活用し資産や所得等も把握した上で、社会保障の個人会計制度の構築を進める計画だ」「顔認証システムと電子カルテ、患者の医療情報が結びつけば、強力な監視社会が成立する。患者からすると、自分の医療情報を自分でコントロールできなくなる。自己情報コントロール権がない状態で利活用の流れが進めば、安心して医療機関にかかることすら憚られる事態も想定される」「国民皆保険が国民からの信頼を失いかねない。政府は保険診療を解体し、自費診療へ誘導する流れを作ろうとしている可能性もある」など、その危険性に係る指摘があった。

高騰する光熱費への補助を

 光熱費と物価高騰に苦しむ医療機関が増えている。政府は9月、総額6000億円の「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を創設し、医療機関や介護施設、障害福祉サービス施設などに対するエネルギー・食料品価格の高騰分の支援をしている。しかし、具体的な支援対象は都道府県が決める仕組みとなっており、地域によって助成内容に大きな差が生じている。東京都では病院や有床診療所のみが補助金の対象となり、同じく地域医療を支える無床診療所は対象となっていない。

 協会役員は、都内の病院で光熱費が月額300万円以上の負担増になっている実態を示し、「診療報酬は公定価格で変動せず、医療機関は価格転嫁を行うことができないため、公的支援が必要だ」と訴えた。議員からは「価格転嫁できないとの主張には説得力がある。現状の予算措置では不十分だ。厚生労働委員会の質疑で取り上げる」との応答があった。

 また同日、日比谷野外音楽堂で『#いのちまもる 医療・社会保障を立て直せ!10・20総行動』が開催され、吉田副会長と水山理事が参加した。

 協会は11月17日(木)に次回の国会議員要請を予定している。

(『東京保険医新聞』2022年11月5日号掲載)