[要望書]専門医研修制度への「子育て支援加算」導入見送りに抗議する要望書

公開日 2023年01月12日

2022年12月22日

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

日本専門医機構理事長 渡辺 毅 殿

東京保険医協会

サルビア会・就労環境部 部長 田中 眞希

勤務医委員会 委員長 細田 悟

専門医研修制度への「子育て支援加算」導入見送りに抗議する

  さる11 月 21 日、日本専門医機構は、2023 年度専門研修プログラムのシーリング(専攻医数の上限)に関して、子育て中の専攻医のための「子育て支援加算」の新設を見送ったことを発表した。「子育てをする専攻医の支援は重要だが、現状の子育て支援加算は地域偏在を助長する可能性がある。加算の要件、条件、何を持って子育て支援を十分にやっているかの検討が成されていない」という、加藤厚労大臣からの見直し要請を受けての決定である。

 

 そもそも専攻医の研修目的は全く違うところにある。基本症例を全て履修して試験に合格するレベルの専門医を育て、国民に専門性の高い医療を提供するのが目的である。シーリングにより専攻医のみ配置を決めても、指導者や医療・研究施設が不足していれば、専門医を育成することはできないし、地域医療に貢献することもできない。

 さらに、今回見送られた「子育て支援加算」には ①院内保育、病児保育、ベビーシッター、お迎えサービス等の利用を推進していること、②「くるみん認定」「プラチナくるみん認定」を取得していること、③その他、日本専門医機構が認める育児と仕事が両立可能な職場環境が整っていること、を条件に認定すると具体的な要件が発表されていた。シーリングと関係なくこの要件を全国的に展開すれば、専攻医は親族支援なしに研修に専念できるため、出身地域から離れた病院勤務が可能となり、偏在助長どころかシーリング以上の効果が期待できる。育児のための研修中断を解消することで、医療の安定供給にもつながる。

 

 東京保険医協会は、子育て層の医師が医療を中断せず安心して勤務できる研修制度になるべく以下を要望する。

 

 一、 専門医制度におけるシーリングはあくまでも配置の目安とし、子育て支援のような加算を随時認めること。

 一、 子育て支援加算はシーリングにかかわらず全国展開して地域を活性化させること。

以 上


子育て支援加算廃止に対する要望書[PDF:143KB]