[声明]12月23日の中医協答申書に断固抗議する 改めてオン資等システム導入の原則義務化撤回を求める

公開日 2023年01月30日

2022年12月26日

 

           東京保険医協会
会   長  須田 昭夫

政策調査部長   吉田 章

12月23日の中医協答申書に断固抗議する
改めてオン資等システム導入の原則義務化撤回を求める
 

 

  2022年12月23日、中医協総会が開かれ答申書が発表された。マイナンバーカードによるオンライン資格確認等システム(以下、オン資)の導入義務化について、8月10日の中医協答申書・附帯意見に基づく経過措置が示された。経過措置の対象となる「やむを得ない事情」は極めて限定的である。12月23日の答申書附帯意見には、「本経過措置は真にやむを得ない事情に限定して対象を明確化し、最小限に留めるものであるという前提の下、延長を行わないこと。(中略)また、その他特に困難な事情がある場合については、具体例を明確化し、特に限定的に扱うこと」と記載されおり、原則義務化を高圧的に推進する姿勢がはっきりと示されている。

 当会が2022年9月に実施した会員アンケート調査(9月13日に会員医療機関4,219件にFAXでアンケートを送付し、9月28日までに都内616件の医療機関から回答を得た。回収率14.6%)では、オン資の義務化については賛成6.7%、反対63.3%、保険証の原則廃止については賛成7.0%、反対65.7%と、いずれも反対が賛成を大きく上回っており、医療現場の実態は「義務化反対」が多数である。

 オン資の原則義務化は、国会審議を行うことなく、閣議決定と中医協答申書に基づく療養担当規則の改定によって強引に進められてきた。医療現場の意見・実態と患者・国民の声に耳を傾けない強権的な手法に対して厳重に抗議する。

 さらに答申書において、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の見直しが行われ、2023年4月から12月までの時限措置として、保険証で受診する患者に対する初診時加算の増点と、再診時加算が新設される。保険証で資格確認を行った患者に対してペナルティを与え、差別的に取り扱うことを目的としたものと言わざるを得ない。このような診療報酬は正当性がないばかりでなく、国民の受療権を侵害するものである。日本国憲法第14条1項に定められた「法の下の平等」に反する疑いがあり、即時撤回を求める。

 オン資を基盤として国民の医療情報を集積・利活用する「全国医療情報プラットフォーム」の構築が、マイナンバーカードと保険証の一体化・保険証の廃止方針と合わせて強引に進められている。政府の推進する「医療DX」は、患者の個人情報を保護する視点が全く欠けている。医療機関の電子カルテシステムへのランサムウエアによるサイバー攻撃が相次いでいる現状を鑑みれば、オン資の原則義務化は極めて拙速であり、患者・国民が望んでいる政策ではない。保険証の廃止方針を含め、国民皆保険制度の根幹を揺るがす政策変更は、丁寧な国民的議論と合意、国会審議を経て決定されるべきものである。改めて、医療現場と患者・国民を大混乱に陥らせているオン資の原則義務化の撤回を強く求める。

 

以 上

抗議声明「12月23日の中医協答申書に断固抗議する 改めてオン資等システム導入の原則義務化の撤回を求める」[PDF:118KB]