オンライン資格確認 「義務化」撤回訴訟へ

公開日 2023年01月30日

 2022年12月23日に中医協総会で、2023年4月実施のオンライン資格確認(以下、オン資)等システム導入義務化についての審議が行われ、答申書が発表された。答申では複数のケースにおいて経過措置が示されたものの、義務化そのものの撤回は行われず、また除外対象については拡大されなかった。協会は12月26日、中医協答申書に厳重に抗議し、改めてオン資等システム導入の原則義務化の撤回を求める声明を発出した。

国は「原則義務化」強行 除外対象も追加なし

 今回の答申書は、昨年8月10日中医協答申書での「2022年末頃の導入の状況について点検を行い、地域医療に支障を生じる等、やむを得ない場合の必要な対応について、その期限も含め、検討を行うこと」との附帯意見を受けたものだ。

 6つのケースに分けてそれぞれ経過措置が設けられた(上表参照)。ただし、義務化除外の対象については従前の「紙レセプト請求の医療機関」から拡大されなかった。経過措置を受けるためには2023年3月31日までに関東信越厚生局東京事務所への届出が必要となる。

 また、2023年4月から2023年12月までの時限措置として、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の点数を見直し、保険証で受診した患者に対する初診時の加算点数の引き上げと再診時の加算の新設が盛り込まれた。同加算は、健康保険資格の確認方法という診療と直接関係ない事柄で点数に差をつけ、保険証を持参した患者へのペナルティとして作用するものであり、国民の受療権の侵害につながる。

オン資義務化撤回訴訟原告団への参加を

 今回の答申書で示された経過措置は限定的であり、原則義務化を強行する国の方針があらためて示された。そもそもオン資義務化は、閣議決定と中医協答申書に基づく療養担当規則の改定によって強引に決められたものである。国会での議論はまともに行われず、医療現場の実態や患者・国民の声は無視され続けた。

 協会が昨年9月に実施した会員アンケート調査では、オン資の義務化・保険証の原則廃止ともに反対が賛成を大きく上回っていた。

 オン資等システムは、政府の推進する「医療DX」の基盤とされているが、医療機関へのランサムウェアによるサイバー攻撃が相次いでいる。

医療DX」は医師の守秘義務と患者のプライバシーを脅威にさらす恐れがある。

 協会は、2023年1月14日開催の理事会で、協会会員を中心に保険医と歯科保険医による原告団を結成し、国を相手として義務化撤回訴訟を起こすことを決定した。

 原告には保険診療を行う医師・歯科医師であれば誰でも参加することができる。ぜひご協力いただきたい。

(『東京保険医新聞』2023年1月25日号掲載)