荒川支部例会 オン資・医療DXの推進 医療の在り方が変質する恐れ

公開日 2023年02月08日

 荒川支部は11月21日、アートホテル日暮里ラングウッドで例会を開催し、12人が参加した。「オンライン資格確認・電子処方箋の問題点」と「新型コロナ臨時的取扱い・10月改定診療報酬算定の留意点」をテーマに意見交換を行った。

 オン資の導入が2023年4月から義務化され、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」とすることを担当大臣が表明した。岸田首相は「マイナカードを持たない人でも受診できるように保険証に代わる制度をつくる」と国会で表明した。保険証を残せば済むにもかかわらず、マイナ保険証を強引に普及させるのに躍起となっている。

 電子処方箋は2023年1月から運用が開始され、レセプトオンライン請求システムと資格確認システムを導入している医療機関が任意で導入する。導入後は受付時の流れが変わり、マイナ保険証の場合は患者が電子処方箋か紙の処方箋かを選択し、保険証の場合はスタッフが希望を確認しなくてはならない。また、電子・紙を問わず処方箋を発行する場合は、処方内容を含む電子ファイルを作成して、支払基金・国保中央会の電子処方箋管理サービスに登録することとなるため、受付は非常に煩雑となる。

 政府は電子カルテも標準化し、2030年までに普及率100%を目指している。これらの政府が進める医療DXにより、医療機関は患者の医療情報をデータとして規格化する役割を担わされ、医療の在り方自体を変質させることにつながる。

 意見交換では、「オン資システムを導入したが、骨太の方針で義務化が閣議決定されてから上限額が32・1万円(3/4補助)から42・9万円(実費補助)に変更されたのは納得いかない。導入を急かしておきながら、補助金の額を後で上げるのは理不尽だ。協会で要望してもらいたい」等の意見が出された。

 10月に逝去した故・小島靖元副会長に黙禱を捧げた。加藤薫支部長は「小島元副会長の活躍は枚挙にいとまがないが、横のつながりを大切にされ支部活動にも力を入れられていた。小島先生の遺志を継ぎ、支部活動を発展させていきたい」と述べた。

 

(『東京保険医新聞』2023年2月5日号掲載)