国会行動 保険証廃止の撤回求める

公開日 2023年03月10日

末松義規議員(衆・立憲/中央)
川田龍平議員(参・立憲/右から2人目)
小池晃議員(参・共産/左から2人目)

 協会は2月16日、国会議員要請を行い、吉田章、中村洋一各副会長、竹内真弓、細田悟、水山和之各理事が参加した。全会派の東京都選出国会議員に対して、①COVID―19の5類移行に際しては国民や医療現場の実態を十分に勘案すること、②健康保険証の存続、③光熱費の高騰に対する医療機関への支援、④防衛費ではなく社会保障費を拡充すること、の4点を要請した。

 当日は、末松義規(衆・立憲)、川田龍平(参・立憲)、小池晃(参・共産)各議員本人および、松本洋平(衆・自民)、伊藤俊輔(衆・立憲)、山岸一生(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、宮本徹(衆・共産)、自見はなこ(参・自民)、田村智子(参・共産)、吉良よし子(参・共産)、山添拓(参・共産)、天畠大輔(参・れいわ)各議員秘書と面談した。

5類移行は慎重に

 2023年1月27日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、COVID―19を5月8日から5類感染症に位置付けることが決まった。この変更に際し、各種政策・措置の見直しが予定されているが、医療現場からは懸念の声が出ている。特に公費負担や診療報酬上の臨時的取扱いが廃止されれば、国民や医療機関における大きな混乱や負担の増加が強く懸念される。議員からは「5類化しても、医療費の公費負担は継続するべきだ」「5類化を行い、多くの医療機関で発熱患者を受け入れられる体制を整備すべきではないか」「状況を見ながら段階的な措置を取るべきだ」等、様々な意見が出た。

保険証廃止強行の動きに危機感

 政府は2024年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化するとしているが、マイナンバーカードの取得はあくまで任意だ。そこで、未取得者や紛失した人に対し、現行の健康保険証を一定の期間有効とみなすことや、氏名や被保険者番号等を記した「資格確認書」の発行を検討している。

 また、マイナンバー法を改定し、①法律で規定された用途に「準ずる事務」でマイナンバーを利用する場合は、法改定をせず政省令の見直しのみで対応できるようにすること、②年金や児童手当の受給者からの不同意がなければ、預貯金口座をマイナンバーに紐付けること、等を予定している。

 これらの改定は、マイナンバーカードの取得が事実上の強制となることや、政府が本人の同意なしに個人情報を幅広く収集・管理することが可能となり、プライバシー侵害につながること等、多くの問題点がある。

 議員からは「資格確認書を発行するよりも、現在の健康保険証を残す方が簡便だ。保険証を廃止すれば、医療現場に大きな混乱を与えることになる」「保険証廃止を含めたマイナンバーカード取得強要の動きや、マイナンバーに個人情報を紐づけて、国が管理しようとしていることに強い危機感を持っている」等、保険証廃止に強く反対する意見が出た。

 政府は3月中にも保険証を廃止するための法案提出を予定している。協会は保険証を守るための取り組みを強化していく。

光熱費高騰への支援を

 エネルギー価格の高騰等により、国民生活のみならず、医療機関の経営も大きな打撃を受けている。診療報酬は公定価格であり、医療機関は物価や光熱費等の高騰分を価格に転嫁することができない。議員からは「光熱費高騰が医療機関に与えている影響が深刻なことがわかった」「医療機関に対する支援は国が責任を持って行うべきだ」等、協会の主張に賛同する意見が出た。

(『東京保険医新聞』2023年3月5日号掲載)