国会行動 保険証廃止の撤回等を要請

公開日 2023年05月26日

伊藤俊輔議員(衆・立憲/右)
末松義規議員(衆・立憲/中央)
宮本徹議員(衆・共産/右)

 協会は4月27日、国会議員要請を行い、細田悟、水山和之各理事が参加した。全会派の東京都選出国会議員に対して、①健康保険証の存続、②オンライン資格確認、オンライン請求「義務化」の撤回、③物価高騰による医療機関への支援、④COVID―19の5類引き下げによる公費負担廃止や診療報酬の臨時的取扱いの見直しの撤回、⑤75歳以上の保険料引き上げ中止の5点を要請した。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、末松義規(衆・立憲)、宮本徹(衆・共産)各議員本人および、山岸一生(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、自見はな子(参・自民)、川田龍平(参・立憲)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、山添拓(参・共産)、天畠大輔(参・れいわ)各議員秘書と面談した。

保険証廃止は国民皆保険制度を破壊する

 国会では、健康保険証を2024年秋を目途に廃止し、マイナンバーカード(以下、マイナカード)に一体化することを含むマイナンバー法等関連法案が審議され、衆議院を既に通過している。マイナカードを持っていない人には、被保険者であることの「資格確認書」を交付するとしている。本人の申請が必要となり、有効期間は最長1年で、更新手続きが求められ、更新忘れ等により「無資格」「無保険」となる患者が発生する恐れがある。問題のない現行の健康保険証を廃止し、新たな仕組みに変更することには、国民にマイナカードの取得を強要する以外の意味がなく、国民の受療権を侵害する暴挙である。患者、医療機関、保険者、自治体のいずれにも大きな負担と混乱をもたらすことが確実で、地域医療、ひいては国民皆保険制度の破壊につながる。

 議員からは「健康保険証の廃止は撤回するべきだ。健康保険証がマイナカードを国民に普及するための人質として使われている」「本人の申請に基づいた資格確認書交付の仕組みは、申請する能力が無い人を無保険者として切り捨てるのと同義だ」などの意見が出た。

高齢者切り捨ての保険料引き上げは中止を

 75歳以上の後期高齢者の医療保険料の引き上げを盛り込んだ健康保険法等改定案が5月12日に成立した。同改定案は、現役世代の負担抑制と出産育児一時金増額の財源として、年収153万円超の後期高齢者の保険料を2024~25年度にかけて段階的に引き上げる。世代間の分断を煽る政策だ。2022年10月から後期高齢者の医療費窓口負担2割化が実施されており、保険料も引き上げられれば、受診抑制の深刻化は必至だ。また、同改定案では、「都道府県の保険料の水準の平準化」として、自治体が独自に行っている国民健康保険料の軽減をやめさせようとしている。

 議員からは「75歳以上の保険料引き上げは問題だ。軍事費に充てる費用を社会保障に回すべきだ」「オンライン資格確認や75歳以上の保険料の引き上げなど、政府が高齢者を切り捨てるような政策を進めているのはおかしい」などの意見が出た。

 昼には、保団連主催「保険証廃止法案は撤回を!」国会内集会を開催し、その後東京保険医協会主催で「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」第二次訴訟原告団結成集会を開催した。

(『東京保険医新聞』2023年5月25日号掲載)