オン資義務化撤回訴訟 第二次訴訟原告団結成集会 オン資義務化は違法・違憲

公開日 2023年05月26日

会場の模様
(4月27日、衆議院第二議員会館)
左から佐藤理事、喜田村弁護士、
住江保団連会長、須田会長
藤田倫成医師
(神奈川協会理事)

 

山田美香歯科医師
(静岡協会副理事長)
中村誠二歯科医師
(千葉協会理事)

 

 4月27日、「オンライン資格確認(以下、オン資)義務不存在確認等請求訴訟」の第二次訴訟原告団結成集会が衆議院第二議員会館内で開催され、全国から約100人が会場に集まった他、Webで約90カ所から参加があった。協会からは、原告団長の須田昭夫会長、原告団事務局長の佐藤一樹理事および弁護団から喜田村洋一弁護士(主任弁護人)が登壇した。

東京から全国の闘いに

 須田会長は、冒頭の挨拶で「一番の問題は国民のプライバシーだ。政府が進めているデジタル化では、情報漏洩が起こるのは確実である。医師にとって、患者の医療情報を守ることは絶対であり、漏洩の危険性があるオン資義務化を受け入れることはできない」と述べた。一次、二次を合わせて原告が1000人を超えたことを報告し、「すでにこの訴訟は東京だけではなく、全国の医療者の闘いになっている。引き続きご協力をお願いしたい」と述べた。

 住江憲勇保団連会長は、「オン資義務化は、省令改正だけで何の国会審議もなく強行されており、立法権を定めた日本国憲法第41条や、法定手続きを保障する第31条に違反している。東京協会が呼びかけた訴訟の取り組みは非常に重要であり、私もさっそく原告に加わった。徹底的に闘っていこう」と呼びかけた。

 訴訟の趣旨と経過を説明した喜田村弁護士は、資格確認の方法の規定については本来法律で定める必要があり、厚労省が省令の変更で行ったことは「法律の下剋上と言うべきものであり、民主主義に反する」と指摘した。4月21日に開かれた第1回口頭弁論で、国が請求の棄却を求めたことについては「国は門前払いではなく、内容で争う姿勢を見せたということだ。6月29日開催の第2回口頭弁論に向けて、国側の答弁を待ちたい」と解説した。

保険証廃止問題 患者アンケートを紹介

 佐藤理事は、東京協会の取り組みについて報告した。

 オン資義務化、保険証の原則廃止が盛り込まれた「骨太方針2022」において、産業界を含んだ医療情報の「利活用」が計画されている。医療界のセキュリティは非常に脆弱で、2022年には39件の情報漏洩が起こっており、厚労省や、オン資の回線を担っているNTTも大規模な情報漏洩事件を起こしている。しかし、マイナポータルの規約26条では「デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き」責任を負わないとされており、実質的にデジタル庁が免責される仕組みになっていることを指摘した。

 複数の協会役員が、こうした実態を患者に説明した上で、保険証廃止についてアンケートを行ったところ、診療情報の流出について「心配する」が全体の8割、保険証の廃止については反対が7割を占めたことを報告した。「デメリットを理解していれば、多くの患者は保険証の廃止に反対する」として、国民に対する問題点の周知の取り組みを呼びかけた。

全国の原告がスピーチ

 その他、原告団に参加した各地の医師・歯科医師がスピーチを行った。

 藤田倫成医師(神奈川県保険医協会理事)は、神奈川県保険医協会が二次訴訟に向けて会員に原告参加呼びかけのDMを送付し、104人の申し込みがあったことを報告した。「診療形態や建物の構造、経営規模など様々な要因から、オンライン化に対応できない医療機関は少なくない。オン資に対応できない医療機関を切り捨てる無法なやり方に抗していこう」と述べた。

 山田美香歯科医師(静岡県保険医協会副理事長)は、明確な意思表示の手段として訴訟が最適だと考えて原告団に加わったことを報告し、「オン資システムは医療者側から求めて作られたものではない。オン資義務化・保険証廃止は患者にも医療機関にも何のメリットもなく、混乱をもたらすだけだ」と指摘した。「訴訟を通じて政策の問題点が明らかにされ、裁判菅が公正な判断を下すことを求めたい」とし、原告団への参加を呼びかけた。

 中村誠二歯科医師(千葉県保険医協会理事)は、オン資義務化が開始されて1カ月弱となるが、マイナ保険証を使用する患者が1人もいないことを報告し、義務化のために余計な労力と時間が費やされていると述べた。「オン資義務化はレセプトオンライン請求、電子処方箋、電子カルテの義務化に繋がっていくので、今のうちに阻止しなければならない」と訴えた。

 最後に佐藤理事が第三次訴訟の原告団への参加を訴え、閉会した。

(『東京保険医新聞』2023年5月25日号掲載)