オン資トラブル多発 実態明らかに

公開日 2023年06月24日

 協会は、5月25日に会員医療機関4770件にFAXでアンケートを送付し、6月5日までに都内691件の医療機関から回答を得た(回収率14・5%)。集計の結果、回答があった医療機関のうち77・5%がすでにオンライン資格確認を実施しており、11・6%が準備中であることが判明した。一方で、「経過措置を申請した」との回答は9・3%だった。

66・5%がトラブルあり 「保険者情報が正しく反映されない」多数

 「オンライン資格確認を実施している」と回答した医療機関のうち、66・5%で運用に際してトラブルがあった(図1)。トラブルの内容(複数回答可)については、「保険者情報が正しく反映されていなかった」が265件、「カードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証を読み取りできなかった」が165件、「マイナ保険証の不具合(ICチップの破損等)で読み取りができなかった」が85件、「他人の情報に紐づけられていた」が11件、「上記のトラブルが発生したことに対して、患者から苦情を言われた」が50件だった(図2)。

 トラブルへの対処法(複数回答可)は「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認をした」が270件、「保険者に連絡をして相談した」が104件、「レセコンメーカーに相談した」が97件、「前回来院時の情報をもとに対応をした」が79件、「オンライン資格確認のコールセンターに連絡をした」が44件であった(図3)。また、トラブル対応で「一旦10割を患者に請求した」との回答は14%だった(図4)。

トラブル時にすぐに対応できなかった事例 約半数

 トラブルがあった時にすぐに対応できなかった事例が「あった」との回答は48・2%にのぼった。原因(複数回答可)は「レセコンメーカーに連絡をしたがすぐに繋がらなかった」が50件、「健康保険証を持ち合わせておらず、すぐに資格を確認できなかった」が46件、「オンライン資格確認のコールセンターに連絡をしたが、すぐに繋がらなかった」が38件、「保険者に連絡したが、資格を確認できなかった」が19件だった。

健康保険証の存続を!

 アンケートから、オンライン資格確認システムでトラブルが多発しており、健康保険証がなければ資格確認すらままならない実態が明らかになった。

 マイナンバー法等関連法案は6月2日、参院本会議で可決成立したが、質疑を通じて、マイナカードを用いたオンライン資格確認や、マイナ保険証への一本化が根本的な問題を抱えていることが浮き彫りになった。他人の情報への紐づけをはじめ、マイナカードをめぐる多くのトラブルが報告されており、制度の欠陥が国民の目にも明らかになっている。協会は同法案の成立に抗議する声明を6月2日に発出した。

 協会は、国民皆保険制度の基盤である健康保険証を存続させることを引き続き強く求めていくとともに、メディア等を通じて、マイナ保険証の問題点を広く国民に訴えていく。

(『東京保険医新聞』2023年6月15日号掲載)