[支部地区だより]中野・杉並・練馬で合同開催 地域連携・各区の制度など意見交換

公開日 2023年09月09日

 7月11日、中野・杉並・練馬3支部は協会セミナールームとWeb併用で合同支部例会を開催し、11人が参加した。山口隆中野支部長による司会進行のもと、前半は河北総合病院心臓・血管疾患センター循環器内科副医長の片野皓介氏による講演会、後半は地域連携についての意見交換ならびに区に対する請願等の検討を行った。

 片野氏からは「失神をどう考えるか」をテーマに講演があった。失神は河北総合病院において年間350例ほどの患者を受け入れる身近な症状であるが、診療科が曖昧かつその原因の特定も困難であるため根本解決に至らないケースが多いという。同氏は週に1回から2回の失神外来を通じて多くの患者と向き合い、先進的な検査を取り入れ治療にあたっている。CT画像を元に心臓の3Dデータを作成し血管狭窄を視覚的に判断するFFR︱CTの活用や、患者の体内に挿入した手のひらサイズの測定器(ILR)とスマートフォンアプリを連携させ不整脈を検知すると病院に通知がいく仕組みを活用する事例が紹介され、参加者から驚きの声があがった。最後に片野氏は、「心原性失神の患者は死亡率が高いため、気になる患者はぜひ紹介してほしい」と強調した。参加者からは、「近隣の病院でFFR︱CTが受けられるのは素晴らしい」「病診連携を考える上で身近なテーマだった」との声が出た。

 後半は健康診断の項目や予防接種の制度が隣接する3区で異なることによる現場の不都合について意見を交換した。区境に位置する医療機関には他区の患者が来院することも少なくなく、居住する区によって差が生じるのは不合理だとの意見から改善策について検討した。協会として対都請願を毎年行っているが、個別の区の案件については地区医師会や区長あてに陳情を提出するなど現場の意見を届ける方法を話し合った。継続して論議することになったが、協会への要望として各区の予防接種や健診内容を調査し、一覧表を作成してほしいとの声が出た。

 最後に成瀬清子杉並支部長と岡英孝練馬支部長が挨拶して閉会した。今回は隣接する3区での合同開催だったが、参加者からは異なる区との情報交換の機会を望む声や、より多くの参加が見込めるテーマ設定を希望する意見もあった。


各区の状況や医療制度の違いなどの情報交換を行い、区に対する請願について検討した。


片野 皓介 氏

(『東京保険医新聞』2023年8月25日号掲載)