2024年度診療報酬改定 施行時期が6月に後ろ倒し

公開日 2023年09月26日

 8月24日の社会保障審議会・医療保険部会において、2024年度診療報酬改定の基本方針の策定に向け議論が始まった。厚労省が前回の2022年度改定の基本方針を説明した後、各委員が自由に意見を述べた。新興感染症への対応、かかりつけ医機能、医療DXの推進、医師の働き方改革―といった課題に取り組む重要性を訴える声が相次いだ。

 続く25日の社保審・医療部会においても、2024年度診療報酬改定の基本方針の策定に向け議論された。物価高騰の影響を踏まえた対応や、医療従事者の賃上げを実現するための手当ての重要性を指摘する声が、複数の委員から上がった。

◎施設基準の電子届出を検討

 厚労省の「診療報酬改定DX」タスクフォースは、報酬の施設基準について、届け出の方法を紙から電子に変える方向で検討している。医療機関の手続きの効率化などを図りたい構えだ。日本施設基準管理士協会が8月上旬に開いた病院経営研修会で、厚労省保険局の医療課長は「施設基準を電子的に届け出できる環境を整えていきたい。それによって、届け出漏れが少なくなり、医療機関の手続きも効率化できるのではないか」と述べた。届出方法の変更で取り残される医療機関がでないよう、今後の議論の注視が必要だ。

◎診療報酬改定の6月施行のスケジュール

 改定DXに関連して、診療報酬改定の6月施行についても説明があった。施行時期を4月から後ろ倒しにすることで、「医療機関やベンダーの改定作業の負荷が平準化される」とした。

 医療課長は「2026年度に向けては、共通算定モジュールを開発する。請求ソフトに当たる部分を国が開発してクラウドに載せ、各ベンダーのレセコンソフトに導入してもらう予定だ。社会保険診療報酬支払基金が作成する各種マスタなどの活用も可能になる」と語り、医療課の作業スケジュールは、現行と同様になる見込みだ。DPCの基礎係数や機能評価係数なども、施行前の3月末には官報告示する方向で進める。中医協でも、混乱がないように丁寧な進め方を求める声が出ていることに言及し、「随時、医療関係者には情報提供をしていきたい」と話した。

 疑義解釈については、運用後に発生する解釈は別として、2カ月の後ろ倒しにより、解釈の多くを施行前に整理できるのではないかとの見通しを示した。

 施設基準の実績はおおむね、そのまま運用する可能性が高いものの、適宜、確認作業を進める考えだ。

 改定の方針が明らかになり次第、本紙で紹介していく。

(『東京保険医新聞』2023年9月15日号掲載)