公開日 2023年11月21日
港支部は10月25日に例会を開催し、6人が参加した。話題提供として新型コロナ特例、マイナ保険証の問題点、次期診療報酬改定の最新情報について取り上げた。
尹太明支部長は開会挨拶で、「医師として診療を始めた当初は、診療報酬が下がると考えていなかった。小泉政権の時から診療報酬の改悪が始まり、今でもそれが続いているのは遺憾だ。来年は診療報酬改定があるが、現時点で分かっている内容について議論を深めたい」と述べた。
現在、中医協では、かかりつけ医機能の評価、在宅医療、オンライン診療、薬価など、次期診療報酬改定の検討が始まっている。また、消費税10%引き上げに伴う診療報酬上の補填について2021~2022年度の状況を把握し中医協で今後報告される見込みだ。
中医協では、オンライン診療の届出をしていても算定していない医療機関が大多数である一方、オンライン診療が全診療の5割を超える医療機関も存在することが調査で明らかになっている。参加者からは「新型コロナの流行で、オンライン診療が一般的となった感があるが、果たしてオンラインできちんと診察をすることはできるのか。『見る聴く触る』というのが医療の基本だと教わってきた。医師が手を当てるだけで落ち着くという患者もいる中で、『手当て』という概念がオンライン診療では抜け落ちている」「医療者ではない者がオンライン診療の推進をしているのではないか」「消費税に限らず物価高騰全般に診療報酬改定が対応できていない」といった意見が出された。
マイナ保険証については、現行の健康保険証を存続するよう国に意見書を提出することを求める請願を港区議会に提出したが、賛成する議員はいたものの結果は不採択となったことが報告された。参加者からは「マイナカードと保険証の紐づけを診療所で行おうとする患者がいて、余計に時間がかかって困っている」「マイナ保険証の普及には利権が絡んでいるのは確実であり、業者が儲かるだけだ」といった批判的な声が出た。
オンライン資格確認やマイナ保険証の問題に加えて、来年度は診療報酬改定も控えており、医療機関をめぐる情勢は複雑かつ厳しさを増している。最後に協会で取り組み中の診療報酬の引き上げを求める会員署名への協力を呼びかけて、盛会のうちに閉会となった。
(『東京保険医新聞』2023年11月15日号掲載)