公開日 2024年01月30日
協会は2023年9・12月開会の都内各区市町村53議会(島しょ部を除く)に「健康保険証を存続するように国に意見書の提出を求める」請願・陳情を提出する取り組みを進めてきた。全議会での結果を報告する(表参照)。
2023年9・12月開会の53議会での請願・陳情の結果
◎調布・小金井の2市で採択
本会議で陳情が採択されたのは調布市と小金井市の2市だ(9月25日)。両市議会からは国に対して健康保険証の存続を求める意見書がそれぞれ提出された。荒川区は本会議・委員会とも趣旨採択(陳情)となった。その他の結果は、審議未了2件、資料配布4件、継続審査12件、不採択32件であった。
◎委員会での採択は1区6市
請願・陳情が付託された委員会で採択されたのは渋谷区(請願)と三鷹市・武蔵野市・調布市・東村山市・国立市・小金井市(北多摩6市・陳情)だった。
◎与党議員とも対話
各地方議会での審議にあたっては、協会事務局が委員会審議に出席し、意見陳述するなど、マイナ保険証とオンライン資格確認のトラブル調査結果を示し、医療現場の実態に基づいて、協会の請願・陳情への賛同を求めた。また、各会派の控室を回り、請願の紹介議員になってほしいとの要請を丁寧に行った。
国政与党の議員からは「中央の方針があり、賛成はできないが請願の趣旨は十分に理解できる」「市民の声は保険証を残して欲しいという声が多い。廃止を急ぐのは問題だ」など理解を示す声が聞かれた。また、保険証廃止の政策に賛成している政党の所属議員が委員会審議で請願採択に賛成するなど、貴重な動きも生まれた。
◎政府が現行保険証の廃止を閣議決定
2023年12月22日、政府は2024年12月2日に現行の保険証を廃止し、新規発行を廃止する政令を閣議決定した。廃止後1年間は経過措置として現行の保険証がそのまま使えるが、その後は、マイナ保険証に一本化するとしている。自治体の窓口業務や保険者の準備期間も考慮し、2023年6月に成立した関連法で定めた廃止日(2024年12月8日まで)に近い12月2日とされた。
◎廃止は困難 引き続き存続を
マイナ保険証の11月の利用率は約4・33%で、ピークだった4月の6・3%から、7カ月連続で減少している(厚労省発表)。政府は現行の保険証廃止を閣議決定したが、医療現場では現行の健康保険証を使った資格確認が圧倒的多数を占めている。
患者・医療機関双方にとって、マイナ保険証は信頼度が低く安心して使用できないため利用率が低迷している。国民の理解が得られない以上、現行の健康保険証を廃止すべきではないし、実際に廃止するには相当な困難を伴う。
協会は健康保険証の存続を求め、引き続き取り組みを強化していく。先生方におかれては、「保険証持参ポスター」の院内掲示、「現行の健康保険証を残してください」請願署名にぜひご協力をお願いしたい。
(『東京保険医新聞』2024年1月25日号掲載)