レセプトオンライン請求 4月原則義務化 移行できない場合は届出を

公開日 2024年02月07日

◆猶予届出 紙レセ医療機関は2月末〆切

 厚労省は2023年11月30日に請求命令(省令)を改正し、原則として医療機関が診療報酬を請求する方法をオンライン請求に限定した。

 2024年4月以降、新規に指定される医療機関は、光ディスク等を用いた請求と紙レセプトによる請求を開始することはできなくなるが、3月まで光ディスク等や紙レセプトによる請求を行ってきた医療機関には猶予制度が設けられる。4月以降も従来通りの請求を行う場合は猶予届出等の提出が必要だ(表1参照)。特に紙レセプトで請求している医療機関は提出期限が2月末とされているので対応を急がれたい。2023年12月26日に発出された事務連絡に基づき解説する。

 

1.光ディスク等を用いた請求を行っている医療機関(8月末までに提出)

【2024年4月以降】
 9月まではオンライン請求への移行期間として、届出を行うことなく光ディスク等を用いた請求を継続することができる。

【2024年10月以降】
 光ディスク等を用いた請求を継続する場合には、「猶予届出書兼移行計画書」(様式第1号[PDF:345KB] 。事務連絡9~10頁参照)を「医療機関等向けポータルサイト」上のフォーム(※)(4月頃開設予定)から、2024年8月31日までに提出する。

 「移行計画書」は最大1年間とされ、計画期間を継続する場合は、再び「猶予届出書兼移行計画書」を提出することで、光ディスク等を用いた請求を継続することができる(1年更新制)。

※フォームからの提出が困難な場合は、支払基金本部事業統括部事業サポート課及び国保連合会に郵送にて提出する。

2.紙レセプトで請求している医療機関(2月末までに提出)

 以下の⑴又は⑵の医療機関は、紙レセプトによる請求が認められることとなった。当初の要件に合致している旨の届出を行うことで2024年4月以降も紙レセプトでの請求を行うことができる。

 届出を行わないとオンライン請求に移行することになるため、必ず以下の届出を行うよう注意されたい。

⑴レセコンを使用していない医療機関
⑵全ての常勤の保険医の生年月日が表2の通りである診療所

【届出方法】
様式第2号[PDF:402KB] (QRコード11~12頁参照)を用いて支払基金本部及び国保連合会に、2024年2月29日までに郵送にて提出する。

 様式第2号をダウンロードして印刷できない場合は協会までご連絡いただきたい。用紙をお送りする。なお、2月29日が必着のため郵便事情にご注意いただきたい。

②2⑵の医療機関で新たに診療に従事する常勤の保険医の生年月日が表2を満たせない場合、遅滞なく審査支払機関に様式第2号で「書面による請求の終了」の届出を行う。この場合、当該届出の属する月及びその翌月に限り書面による請求を行うことができる。その後はオンライン請求に移行することとなるため、届出を行った月の20日までにオンライン請求利用申請を医療機関向けポータルサイトから行う必要がある。

 

3.その他

 オンライン請求を行うことが困難な事情として、次のア~エまでに掲げる事情に該当することが個別に認められる医療機関については、あらかじめ、審査支払機関に対して、様式第3号[PDF:452KB] (事務連絡13~14頁参照)を届け出ることにより、光ディスク等を用いた請求又は紙レセプトによる請求を行うことができる。

ア電気通信回線設備の機能に障害が生じたもの
イ改築工事中の施設又は臨時の施設において診療を行っているもの
ウ廃止又は休止の計画を定めているもの
エその他オンライン請求を行うことが特に困難な事情があると認められるもの

レセプトオンライン請求義務化の撤回を求める

 レセプト請求権に対する新たな義務を法律ではなく、省令で直接課すことは「国会を唯一の立法機関」と定めた憲法41条に違反し、違憲であり無効だ。国民的議論や国会審議を経ず、閣議決定により諸政策を強行する政治は三権分立の破壊に他ならない。協会は声明「レセプトオンライン請求『義務化』強要方針に対し、強く抗議し撤回を求めます」を2023年3月30日に発出し、義務化に反対してきた。

 そもそも政府はオンライン請求「義務化」の目的として、審査・支払業務の円滑化を掲げているが、光ディスク等による請求の場合であってもレセプトの内容はオンライン請求の場合と同様にデータ化されており、審査上の差異はない。

 2009年にレセプトオンライン請求義務化撤回訴訟が起きた際、厚労省は一度義務化を撤回し、「電子媒体による請求であっても、医療保険事務の効率化、医療サービスの質の向上等の政策目標は達成可能である」と回答していた。

 協会が2023年に実施したオンライン請求「義務化」アンケートには、義務化されると廃業せざるを得ないとの回答も寄せられている。2月にはレセプトオンライン請求義務化撤回を求め国会議員要請を行う予定だ。
 

(『東京保険医新聞』2024年2月5日号掲載)