オン資義務化撤回訴訟 第5回口頭弁論 国の主張に再度反論

公開日 2024年03月28日

 2月29日、「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」の第五回口頭弁論が東京地裁103号法廷(岡田幸人裁判長)で開かれた。弁護団に加え、全国から終結した原告28人が原告席で審理に臨み、約60人が傍聴した。

 口頭弁論に先立ち、原告側は2月16日に準備書面を提出し、国の主張に再び反論した。

 口頭弁論で岡田裁判長は、国が再び準備書面を提出する期限を5月17日と指定し、第六回口頭弁論は5月22日に103号法廷で開かれることが決まった。口頭弁論の後、原告団は航空会館で記者・原告説明会を行い、メディア5社が参加した。

国の主張に反論

 国は、健康保険法70条1項に「厚生労働省令の定めるところにより」という文言が用いられていることを理由に、保険医療機関等が療養の給付を担当する上で遵守すべき責務を厚生労働省令に包括的に授権されていると主張する。しかし、「~で定めるところにより」という文言は授権規定における一般的な文言にすぎず、健康保険法70条1項が委任する内容を特定するための手掛かりとはならないと原告側は準備書面で主張した。

 実際、健康保険法には70条1項以外にも「厚生労働省令で定めるところにより」という文言を用いた授権規定が多数存在するが、委任の範囲を定めるため、この文言の後に「額」や「数」等、特定の意味しか持たない用語が用いられている場合(例:3条1項9号ロ、65条4項2号)もあれば、定める事項について広く委任命令で定められるよう、明示的に言及している場合(例:51条の2、197条1項)もある。

 また、国が挙げた児童福祉法、生活保護法、感染症予防法、高齢者医療確保法、覚醒剤取締法についても、法律が省令に委任している先例・類例とはならないと原告側は主張した。

閉院した医師・歯科医師 陳述書を証拠提出

 国は、オンライン資格確認(以下、オン資)の義務化による保険医療機関等への影響は限定的だと主張している。

 それに対して、原告側は、全国保険医団体連合会(保団連)が実施したトラブル事例アンケートに加えて、オン資の義務化によって閉院に追い込まれた原告の医師および歯科医師による陳述書を証拠として提出し、「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」(健康保険法1条)という、授権法の趣旨・目的に反する事態が現に生じている点を強調した。

勝訴に向けて引き続き取り組みを

 口頭弁論の後、原告団は航空会館で記者・原告説明会を行い、全国から約70人(うち原告約30人、メディア5社)が参加した。

 はじめに、竹田智雄医師(保団連会長、岐阜県保険医協会副会長)が、「オン資の義務化を理由とした医療機関の閉院・廃業が増えており、地域医療への影響が強く懸念される。保団連のトラブル事例アンケートでは、未だに約6割でオン資のトラブルに見舞われている。国民が安心して医療にかかれるよう、勝訴を信じて邁進していきたい」と挨拶した。

 続いて、黒田康之歯科医師(岩手協会副会長)、天谷静雄医師(保団連副会長、栃木協会副会長)、宇佐美宏歯科医師(保団連歯科代表・副会長、千葉協会副会長)、武田浩一医師(保団連理事、千葉協会副会長)、橋本健一歯科医師(東京歯科協会理事)、藤田倫成医師(神奈川協会理事)、二村哲歯科医師(保団連理事、神奈川協会副理事長)、市川誠歯科医師(長野協会副会長)、山田美香歯科医師(保団連理事、静岡協会副理事長)、島津俊二歯科医師(兵庫協会評議員)、杉山正隆歯科医師(保団連理事、福岡歯科協会副会長)から、各保険医協会でオン資を理由とした廃院が相次いでいる実態が報告される等、活発な意見交換が行われた。

 喜田村洋一弁護団長は、「毎回の口頭弁論に多数の原告(医師・歯科医師)が参集していることで、判決の内容に直接は影響しなくても、オン資の義務化がいかに深刻な問題であるかを裁判所も理解すると思う。良い結果を導くことができるよう、今後も取り組んでいきたい」と決意を述べた。

 須田昭夫原告団長(東京協会会長)は、「オン資やマイナ保険証の問題点が国民に浸透してきている。廃業する医療機関が増えないよう、違憲・違法性を引き続き訴えていきたい」と結んだ。


記者・原告説明会では、国側の主張に対して今回の口頭弁論でどのように反論したのかを解説した(2月29日、航空会館)


竹田智雄医師(保団連会長)はオン資のトラブルが続いている実態をアンケートに基づき紹介した


会場では多くの医師・歯科医師が、オン資を理由にした廃院が相次ぎ、地域医療に大きな損失を与えている現状を訴えた。写真は宇佐美宏歯科医師(保団連歯科代表・副会長)

(『東京保険医新聞』2024年3月25日号掲載)