国会行動 保険証存続・基本診療料 大幅引き上げ求める

公開日 2024年06月06日

伊藤俊輔議員(衆・立憲/中央)
宮本徹議員(衆・共産/中央)
川田龍平議員(参・立憲/中央右)
山添拓議員(参・共産/左)

 

  協会は4月25日、国会議員要請を行い、中村洋一副会長、水山和之副会長、竹内真弓理事、細田悟理事、細部千晴理事が参加した。

 ①マイナ保険証に一本化せずに、現行の保険証と両立させること、②医療従事者の賃上げを実現できる診療報酬改定を行うこと、の2点を要請した。

 伊藤俊輔(衆・立憲)、宮本徹(衆・共産)、川田龍平(参・立憲)、山添拓(参・共産)各議員本人と面談した他、末松義規(衆・立憲)、山岸一生(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)、天畠大輔(参・れいわ)各議員秘書と面談し、「現行の健康保険証を残してください請願署名」685筆を提出した。

現行の健康保険証の存続を

 4月18日の参議院厚生労働委員会で武見敬三厚生労働大臣は、マイナ保険証の利用率に関係なく12月2日に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると発言した。しかし、3月のマイナ保険証利用率は5・47%と低迷している。マイナ保険証の誤登録やカードリーダーのエラーなどトラブルが続いているにもかかわらず、2025年夏までにマイナ保険証をスマホに搭載する案が国会に提出されている。その場合、医療機関は①健康保険証、②マイナ保険証、③顔認証マイナカード、④新マイナカード(26年以降に発行予定)、⑤スマホ搭載のマイナ保険証、⑥資格確認書、⑦マイナ保険証+資格情報のお知らせ、⑧マイナ保険証+被保険者情報(PDF)、⑨マイナ保険証+資格申立書の9種類の資格確認方法に対応する必要があり、医療現場はさらに混乱することが予想される。医療機関と患者・国民に混乱をもたらすマイナ保険証の一本化を撤回し、現行の健康保険証と両立させることを改めて要請した。

 議員からは「従来の保険証とマイナ保険証を併用することで何の問題もないはずだ。マイナ保険証を普及させたいのであれば利用者の利便性を高めるべきだ」「マイナンバー制度の一番の目的は銀行口座情報を含む国民の資産状況を把握することだ。財務省は金融所得や資産を含めて社会保険料を決定したいのだろうが、現在のマイナンバー制度ではそのようなことはできない。マイナ保険証の必要性は証明できない」「保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書が渋谷区で自民党や公明党も含む全会派一致で可決されたのは素晴らしい成果だ。6月、9月国会で現行保険証を残す取り組みを頑張りたい」「河野デジタル大臣が自民党の議員に配布した、マイナ保険証を使えない医療機関を通報せよとの文書は撤回させなければならない」など、多数の意見が出た。

賃上げを実現できる診療報酬改定を

 6月実施の診療報酬改定については、①「ベースアップ評価料」ではなく基本診療料の引き上げを行うこと、②特定疾患から糖尿病、高血圧症、脂質異常症を除外する取り扱いを見直すこと、③薬剤の選定療養の仕組みを用いた差額負担導入は撤回し、国の責任で医薬品の安定供給を行う体制を構築すること、を中心に要望した。

 議員や秘書からは、「診療報酬の全体は実質マイナス改定としながら『ベースアップ評価料』で賃上げを求める方法では、実際の賃上げにつながらず、スタッフ間や国民との分断を招くという問題点を広く知らせていく必要がある」「物価は過去にない水準で高騰しているが、診療報酬はそれに見合った引き上げになっておらず、実質的には減収だ。基本診療料の大幅引き上げが必要だ」「医療関係者の賃上げも医療DXの推進も診療報酬で行うことではない。仮に診療報酬で対応するのであれば基本診療料を引き上げるべきだ」などの意見が出された。

(『東京保険医新聞』2024年5月25日号掲載)