国会行動 診療報酬引き上げ・保険証存続求める

公開日 2024年06月22日

宮本徹議員(衆・共産/中央)
吉良よし子議員(参・共産/中央)
山添拓議員(参・共産/中央)

 協会は5月23日、国会議員要請を行い、須田昭夫会長、水山和之副会長、竹内真弓理事、細田悟理事、細部千晴理事が参加した。

 ①診療報酬改定は医療現場の実態を考慮して実施すること、②マイナ保険証と現行の保険証を両立すること、③災害対策を強化すること、④重要経済安保情報保護法を廃止することの4点を要請した。

 宮本徹(衆・共産)、吉良よし子(参・共産)、山添拓(参・共産)各議員本人と面談した他、末松義規(衆・立憲)、山岸一生(衆・立憲)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)各議員秘書と面談した。

基本診療料の引き上げ要求

 診療所においては2023年度比1・2%、有床診・病院においては2・3%の賃上げを目指すという「ベースアップ評価料」が新設された。しかし、①煩雑な手続きが求められる、②事務職員が対象外、③特例的な点数で将来的な継続が約束されていない等の問題点があり、実質的に算定できない医療機関が多く見込まれる。すべての医療機関が医療従事者の賃金引き上げを行えるよう、基本診療料を十分に引き上げることを要請した。

 また、2024年10月から一部の先発医薬品について選定療養の仕組みを用いて、後発品の最高価格帯との価格差の4分の1を患者自己負担とすることを撤回し、医薬品の品質向上・安定供給を実現することや、診療報酬改定通知の修正箇所を示さずにホームページ上で差し替える修正方法を止めることを要請した。

 議員からは「ベースアップ評価料は提出する資料が多すぎる。基本診療料を引き上げれば済む話だ」「医薬品の供給不足はいのち・健康に直結するため、対策を考えるべきだ」「通知が修正箇所を示さずに差し替えられているとしたら問題だ。厚労省に確認したい」などの意見が出た。

マイナ保険証誰も望まず 現行保険証との両立を

 厚労省の発表によれば、国家公務員の3月のマイナ保険証利用率は5・73%であり、国民全体の利用率5・47%(4月は6・56%)と比較してほとんど変わらない。現在もマイナ保険証によるオンライン資格確認による資格情報の登録誤りのトラブルが多数報告され、医療機関の受付に混乱を招いている。マイナ保険証によるオンライン資格確認の強引な推進をやめて、医療機関と患者・国民に混乱をもたらすマイナ保険証の一本化を撤回し、現行の健康保険証と両立させることを改めて要請した。

 これに対し、議員からは「マイナ保険証は利用率が伸びず、誰にも望まれていないことが明らかだ。度重なる不祥事で政府は信用を失っているにもかかわらず、いまだに強引に進めているのは異常だ」「マイナ保険証の影響で近所の診療所が閉院した。地域医療の崩壊が進んでいるのではないか」などの意見が出た。

進歩のない災害対策 専門省庁設立を

 能登半島地震では、避難所で簡易ベッドやパーティションテント等、必要な備蓄や物資が足りずに被災者が肺塞栓症になるなど、避難所のあり方が問題となった。能登半島は地理的にアクセスが限定されていたこともあるが、それ以上に、災害対応が基礎自治体任せになっていることが原因と考えられる。復興庁とは別の災害専門省庁を設立し、国の責任で全国に災害支援物資の大規模分散備蓄を行うよう要請した。

 議員からは、「避難所に2回訪問したが、震災直後とゴールデンウィーク時とで状況が全く変わっていない。夏の猛暑や感染対策など今後が心配だ」との意見が出た。

重要経済安保情報保護法 医師の守秘義務に反する

 5月10日に参議院本会議で可決・成立した重要経済安保情報保護法は、国家の安全保障に支障を及ぼす恐れのある経済分野の情報を取り扱う者に対し、①犯罪歴、②薬物の濫用、③精神疾患の有無、④飲酒の節度、⑤経済状況等、個人の機微情報に関する広範にわたる項目が調査され、プライバシー権の観点から重大な懸念がある。対象となる情報の定義が曖昧で、国家による個人監視に歯止めがかからなくなる恐れがある。また、②~④については、調査機関から医療機関に対して情報提供の要請が行われると予想されるが、これは医療の根本原則である医師の守秘義務に反する。基本的人権や医師の守秘義務の観点から問題がある同法を廃止するよう要請した。

 議員からは「重要経済安保情報保護法が簡単に成立してしまい、驚きを隠せない。医師の守秘義務に反し、差別の助長に繋がるため、非常に問題である」との声が出た。

 また、衆議院第二議員会館前で「私たちの声を聞け!保険証を残せ!」アピール集会が開催され、参加医師・歯科医師から現場の状況やマイナ保険証の問題点について発言し、保険証を残すよう訴えた。参加した役員はメディアからの取材に応じた。

(『東京保険医新聞』2024年6月15日号掲載)