公開日 2024年07月13日
港支部は6月12日に例会を開催し、10人が参加した。話題提供として2024年度診療報酬改定Q&Aとマイナ保険証の問題点を取り上げた。
尹太明支部長は開会挨拶の中で、「6月から診療報酬改定の算定が始まった。今次改定は主に内科診療所に大きな影響を与える内容だ。複雑な算定方法が多いが、徐々に明らかになってきているものもある。現時点で分かっている内容について議論を深めたい」と述べた。
今次改定では、特定疾患療養管理料の対象疾患から、高血圧症、脂質異常症、糖尿病が除外された上で、3疾患の受け皿は再編された生活習慣病管理料ⅠまたはⅡとされた。算定するためには療養計画書の交付や院内掲示等が必要になるなど、特定疾患療養管理料とは異なる要件に戸惑いの声が出ている。また、包括される点数がⅠとⅡでは異なるため注意が必要だ。
参加者からは、「生活習慣病管理料Ⅰを算定すると、6カ月以内はⅡを算定できないが、ⅡからⅠへの移行はそのような規定がないため翌月からⅠが算定できる。理解に苦しむ規定だ」「生活習慣病管理料Ⅰでは、慢性疾患とは関係のない疾患で検査をしても検査料が算定できないというのは不合理だ」「整形外科を診ている医院では、注射を出来高で算定できない生活習慣病管理料Ⅰでは赤字になってしまう」といった意見が出た。
外来感染対策向上加算に抗菌薬適正使用加算が新設された。体制を評価した点数で月1回5点の点数だ。しかし、診療所版J︱SIPHEに参加し抗菌薬の使用状況に関するデータを提出することやAccess抗菌薬の割合等を満たす必要がある等、算定するための要件が多い。参加者からは「届出したいと考えたが、施設基準を満たすのに煩雑で大変だ」といった意見が出た。
保険証の存続を求める取り組みでは、協会が作成した「保険証お持ちください」新ポスターを紹介した。ポスターをリニューアルしたきっかけとして、厚労省作成のマイナ保険証普及チラシがある。厚労省のチラシでは「資格確認書」が交付されることが書かれておらず、患者に誤った認識を植え付ける文面となっていたため、正しい情報を伝える目的で協会が新ポスターを作成した経緯がある。参加者からは「資格確認書のことが書かれていてよい」「現行保険証の有効期間は最大1年間だということが確認できた」等の意見が出た。
また、厚労省は6月22日を締切として、保険証の交付義務の規定を省令から削除することについてのパブリックコメントを募集していることを紹介し、協力を呼びかけた。参加者からは「保険証を存続させるためにもスタッフや患者さんにもぜひ協力してもらうよう声掛けをしたい」との声が出された。保険証廃止を阻止し、存続させるために協会は引き続き取り組みを強めていく。
6月から改定内容に基づいた算定が始まり、協会には連日多くの質問が寄せられている。不明な点は協会に問い合わせをするよう呼びかけ、盛会のうちに閉会した。
(『東京保険医新聞』2024年7月5日号掲載)