[声明]マイナ保険証の強引な普及キャンペーンに抗議する声明

公開日 2024年07月30日

2024年7月17日

マイナ保険証の強引な普及キャンペーンに抗議する声明 

東京保険医協会
政策調査部長 吉田章

 

 

 政府は今年5月から7月を「マイナ保険証利用促進集中取組月間」として大々的なキャンペーンを実施中です。まず、医療機関、薬局におけるマイナ保険証の利用率を監視する一方で、利用率に応じた一時金を支給しています。当初、一時金は診療所・薬局に最大10万円、病院に最大20万円でしたが、マイナ保険証の普及をさらに促進するために、それぞれ一時金を倍増しました。金銭的なバラマキにより利用促進を図るこのような政府方針は、患者と医療現場との信頼関係を損なわせるものであり、許されることではありません。

 また、厚労省は「マイナ保険証促進トークスクリプト」なるマニュアルを作成し、医療機関や薬局のスタッフにこのマニュアルを用いて患者に働きかけることを強要しています。しかし、政府の性急で強引なやり方に現場ではトラブルも発生しています。大手薬局でマイナ保険証しか受け付けない対応が行われたことが大きく問題となったほか、医療機関の窓口で提示を求めたところ患者からマイナカードを投げつけられるなど、看過できない事態が生じています。

 厚労省作成のマイナ保険証促進の配布用チラシには、「本年12月2日から現行の健康保険証は発行されなくなります」との記載がある一方、マイナカードを保有していない人には自動的に資格確認書が発行されることには触れておらず、マイナカードしか使用できないという誤った認識を与える文面です。たとえマイナ保険証の利用促進が目的だとしても、本来公正であるべき国家の施策として不当であり、資格確認書に言及しないことを以って事実を歪めていることにほかなりません。

 さらに、現行の健康保険証が発行されなくなるという記載も不適切です。現時点では健康保険法施行規則に健康保険証の発行義務の記載があり、新規発行停止と断定できません。現場に誤解と混乱を招くような強引なキャンペーンは即刻中止すべきです。

以 上

 

マイナ保険証普及キャンペーンに抗議する声明[PDF:111KB]