公開日 2024年11月08日
2024年10月8日
保険証廃止省令案のパブリックコメントの結果に対して抗議する声明
東京保険医協会
政策調査部長 吉田章
厚労省は8月30日、現行の健康保険証廃止に関する意見公募(パブリックコメント、以下パブコメ)に5万3,028件もの意見が寄せられたことを公表しました。提出意見を踏まえて省令案が修正されることはなく、パブコメの結果公表と同日に無修正のまま改正省令(厚生労働省令第119号)が公布されました。パブコメに対するこれら一連の厚労省の対応に抗議します。
まず、5万件超の意見が寄せられたにもかかわらず、「提出意見を踏まえた案の修正の有無」については「無」と結論づけられています。この結論が十分検討したうえで出されたものなのか疑問を持たざるを得ません。例示されている意見の多くはマイナ保険証を不安視するものであるため、マイナ保険証に反対する意見が多数であったと推測されます。さらに、福島みずほ参議院議員事務所を通じて、共通番号いらないネットがおこなった厚労省と総務省へのヒアリング(9月26日実施)では、反対意見が多数を占めたことを厚労省担当官が認めています。しかしながら、5万件超の意見のうち、賛否の割合や内訳が明らかにされていないために客観的な検証をすることもできず、国民の意見が真にどのようなものだったのか判断することができません。
意見公募手続制度(パブコメ制度)については、行政機関が命令等を定めようとする際に、広く国民から意見を募り、提出された意見を十分に考慮しなければならないとする行政手続法上の制度です。行政手続法第43条には、「提出意見」、「提出意見を考慮した結果及びその理由」を公示しなければならないとされていますが、厚労省の対応は不適切かつ秘匿的であり、本制度の趣旨に明らかに反しています。
厚労省は5万件超の声に真摯に向き合い、国民が安心して確実に保険診療を受けられることを確保するとともに、公正さの確保と透明化を図った行政運営を行うことを強く求めます。
以 上
保険証廃止省令案へのパブコメの結果に抗議する声明[PDF:113KB]