公開日 2024年12月25日
11月28日、「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」の一審判決が東京地裁103号法廷で言い渡され、岡田幸人裁判長は原告の請求を棄却した。
原告はオンライン資格確認を療養担当規則で原則義務化するのは違法・違憲だとし、①オンライン資格確認義務がないことの確認、②原告一人あたり10万円の賠償を求めていたが、いずれも認められなかった。
※判決要旨は下表の通り
判決の言い渡しには、原告をはじめ協会・医会関係者が全国から結集し、傍聴席は満席となった。原告44人が法廷に参集し、メディアを含め98人が傍聴した。
11月28日、東京地裁前で撮影
国の主張を写しただけの「お手軽判決」を批判
判決の言い渡しを受け、原告団は航空会館で判決報告集会ならびに原告・記者説明会を行い、全国の協会・医会や市民団体、メディア関係者等、約120人が参加した。
参加者からは、「われわれ原告側の主張や提出した証拠について正面から応えることなく、国の言い分ばかりを採用した、あまりに中身の薄い、正に不当判決と言わざるを得ない内容だ」「到底納得できるものではない」などの発言が相次ぎ、控訴を求める声が多数上がった。
喜田村洋一弁護団長は「判決文のうち『裁判所の判断』を記載する部分はわずか10ページ程度であった上、国の主張を採用するばかりで原告の主張がなぜ間違っているかにはほとんど言及がない、いわゆる『お手軽判決』だ。がっかりしたが、裁判所が原告の主張を論理的に破れていないということでもあるので、高裁で然るべき判断をしてもらえるよう愚直に訴えていく」と述べた。
記者・原告説明会には、報道各社の他、全国から多数の原告や市民が集まった(11月28日、日本航空会館)
控訴審へ思い新たに現場の実態を突き付けよう
弁護団の小野高広氏は「控訴審では、義務化による医療機関の負担は重く、平成25年最判に妥当するほど重大な制限だということをいかに裁判所にわかってもらうかに尽力したい」と意気込みを述べた。
中村洋一副会長は、「残念な結果だったが、健康保険証存続の運動と連帯し広がりを見せるなど、訴訟の成果はあった。控訴審では医療現場の実態をさらに裁判所に突きつけ、勝訴をつかみたい」と結んだ。
(『東京保険医新聞』2024年12月5・15日号掲載)