国会行動 高額療養費・医療DX等議員と懇談

公開日 2025年03月10日

伊藤俊輔議員(衆・立憲/写真右)
柴田勝之議員(衆・立憲/写真右から2人目)
髙松智之議員(衆・立憲/写真右から2人目)
山花郁夫議員(衆・立憲/写真左)
鳩山紀一郎議員(衆・国民/写真中央)
川田龍平議員(参・立憲/写真右)

 協会は2月20日、国会議員要請を行い、吉田章副会長、中村洋一副会長、水山和之副会長、竹内真弓理事、細田悟理事が参加した。①高額療養費の自己負担上限額の引き上げを中止すること、②資格確認書に従来の健康保険証と同じ法的な位置付けを保証すること、③医療DXは普及ありきでなく、医療者・患者の目線に立った安心・安全なシステムを構築することの3点について、東京選出等の国会議員に要請した。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、柴田勝之(衆・立憲)、髙松智之(衆・立憲)、山花郁夫(衆・立憲)、鳩山紀一郎(衆・国民)、川田龍平(参・立憲)各議員、および、阿久津幸彦(衆・立憲)、有田芳生(衆・立憲)、松下玲子(衆・立憲)、山岸一生(衆・立憲)、猪口幸子(衆・維新)、円より子(衆・国民)、田村貴昭(衆・共産)、山添拓(参・共産)、天畠大輔(参・れいわ)、舩後靖彦(参・れいわ)各議員秘書と面談した。

高額療養費自己負担上限額引き上げ中止を

 政府は2024年12月25日、医療費の患者負担を一定以下に抑える高額療養費制度の自己負担上限額を、2025年8月から27年8月にかけて3段階に引き上げ、平均所得層で最大5万8500円引き上げることを決定した。大幅な負担増であり、患者が治療の継続を断念しなければならなくなることが危惧される。

 政府は多数回該当(過去1年に3回以上負担上限額を超えた場合、4回目以降は上限額が下がる制度)の上限額の引き上げを見送る修正案を提示しているが、これでは不十分であり、引き上げ自体の中止を求めた。

 懇談した議員からは、「制度改悪により、治療方法があるのに治療を受けられない状況になってしまうのは問題だ」「受診抑制によって社会保障費を削減するということは、治療を諦める患者を増やすということであり、大きな問題だ」「安心して医療を受ける環境を確保するためにも、高額療養費制度は必要不可欠だ」「自己負担上限額の引き上げ凍結を含む予算の修正案を提示している」「限られたパイの中で分配を変えるのではなく、社会保障費の総枠を拡充すべきだ」等の意見が出た。

オン資義務化・マイナ保険証等についても意見交換

 マイナ保険証の利用登録の解除申請件数は、1月は1万3212件に上り、2024年10月の受付開始から計5万8426件となった。健康保険証の新規発行停止後も、マイナ保険証やオンライン資格確認(オン資)を巡るトラブルが相次いでいる。資格確認書について、国の運用に委ねるのではなく、「マイナ保険証の登録の有無にかかわらず、すべての被保険者に申請によらず一律に交付すること」を法的に定め、従来の被保険者証(健康保険証)と同じ位置付けを保証することを要請した。

 また、医療DXに関しては普及目標だけが先行し、結果的にトラブルや計画の遅延が頻発している。普及ありきではなく、医療者や患者が安心して利用できる、安全で有用なシステムを再検討することを併せて求めた。

 懇談した議員からは、「拙速なデジタル化推進により、オン資のトラブル等、現場で大きな混乱が生じている」「保険者側でも今後トラブルが生じることが予測される」「オン資のシステムは障害者を置き去りにしている」等、協会の要望に賛同や理解を示す意見があった。

 また、懇談の中で病院の深刻な経営状況も話題となり、議員から「複数の病院団体からも窮状を訴える声が聞かれる。このままでは賃上げどころか賃金の維持もできず、医療従事者が離職してしまう。単なる補助金だけではなく、診療報酬を抜本的に引き上げることが必要だ」「物価高騰への対応として、消費税の減税を選択肢から排除せず検討していきたい」等の発言があった。

 昼には、「保険証はやっぱり必要!国会内集会」が行われ、全国各地から選出された多くの国会議員が参集し、連帯の挨拶を述べた。

 
 国会内集会の模様(2月20日、参議院議員会館講堂)

(『東京保険医新聞』2025年3月5日号掲載)