公開日 2025年05月12日
面談の模様。写真右から早稲田ゆき議員(衆・立憲)、末松義規議員(衆・立憲)
協会は4月15日、立憲民主党衆議院議員の早稲田ゆき氏、末松義規氏との懇談を行い、全世代に資格確認書を一律交付することを要請した。協会からは、佐藤一樹理事、申偉秀理事、細部千晴理事が参加した。
全世代に資格確認書を
立憲民主党は今国会に「保険証復活法案(マイナ保険証併用法案)」を提出している。マイナ保険証による資格確認ができない事案が多発し、マイナ保険証の利用率が25%程度で低迷する状況を鑑み、国民の不安が払拭されるまではマイナ保険証と従来の保険証を併用できるようにする趣旨の法案だ。神奈川県選出の早稲田議員は同法案の提出者の一人で、厚労委員会に所属している。今回の懇談は、東京都選出の末松議員の紹介により実現した。
同法案は未だに国会で審議が始まっていない。協会は同法案の趣旨に賛成する一方で、現時点で発行済みの健康保険証の期限切れ(後期高齢は7月末、国保の多くは9月末など)は差し迫っており、医療現場における混乱を回避するために早急な対応が必要となる。
厚労省は75歳以上の後期高齢者について、現在の保険証の期限が切れる7月頃の混乱を避けるため、マイナ保険証の有無にかかわらず2026年7月末まで資格確認書を一律交付することを決定したが、マイナ保険証の利用率は国民全体で低く、同様の問題が国保や社保でも起こり得る。
また、マイナ保険証によるオンライン資格確認は全国医療情報プラットフォームに組み込まれていること、マイナ保険証とひも付けられた医療情報は民間企業等による二次利用が計画されていることから、情報漏洩の危険性がある。マイナ保険証の普及抑制という目的を実現するためにも、保険証(被保険者証)とほぼ同じ機能を有する資格確認書が重要だ。
協会は早稲田議員、末松議員に対し、保険証復活法案が成立しない場合の次善策として、法改正を経ずに実施することができる「全世代への資格確認書の一律交付」を要請した。
小児科の受付 現場の問題を訴える
特に小児の受診に関しては、マイナ保険証を利用する場合①子どものマイナ保険証、②子ども医療費助成制度の医療証に加え、トラブル時に備えて③資格情報のお知らせの計3種類を持参する必要がある。子どもの付き添いは父母、祖父母、保育園の職員など多岐にわたること、暗証番号忘れやシステム障害等で資格確認できない場合があることなど、窓口で混乱が起こることは必至だと強調した。
また、厚労省の通知では、マイナ保険証を保有している場合、修学旅行時や保育士等が受診させる場合は資格情報のお知らせ等のコピーで可としているにもかかわらず、保護者が受診させる場合はマイナ保険証が必要としている等の問題点も指摘した。
早稲田議員からは、「4月3日に75歳以上への資格確認書一律交付が決定したことを受けて、立憲民主党では4月9日の衆院厚労委員会で福岡厚労相に対し、交付対象を65歳以上に拡大するよう要求した」との報告があった。福岡厚労相は「65~74歳の前期高齢者はマイナ保険証利用率が相対的に高いことから、後期高齢者と同様の対応はしない」と回答しているが、相対的に高いといっても65~69歳の利用率は約33%であり、利用している人は少数派だ。
今以上に医療現場の混乱を引き起こさないために、協会は全世代に対して資格確認書が一律交付されるよう、引き続き政府・国会に要請を実施していく。
(『東京保険医新聞』2025年4月25日号掲載)