公開日 2025年05月13日
- 阿部祐美子議員(衆・立憲/右)
- 山花郁夫議員(衆・立憲/中央)
- 猪口幸子議員(衆・維新/中央)
- 田村貴昭議員(衆・共産/左)
- 川田龍平議員(参・立憲/左)
- 山添拓議員(参・共産/中央)
協会は4月24日、国会議員要請を行い、水山和之副会長、細田悟理事、細部千晴理事が参加した。
①OTC類似薬の保険適用除外は実施しないこと、②保険証復活法案の早期審議および、全世代への資格確認書の一律交付、③高額療養費の自己負担上限額引き上げの白紙撤回の3点について東京都選出の国会議員に要請した。
当日は、阿部祐美子(衆・立憲)、山花郁夫(衆・立憲)、猪口幸子(衆・維新)、田村貴昭(衆・共産)、川田龍平(参・立憲)、山添拓(参・共産)各議員および、伊藤俊輔(衆・立憲)、末松義規(衆・立憲)、松下玲子(衆・立憲)、円より子(衆・国民)、森ようすけ(衆・国民)、田村智子(衆・共産)、吉良よし子(参・共産)各議員秘書と面談した。
患者負担の増大を招くOTC類似薬の保険外し
自民党・公明党・日本維新の会は、2025年度予算に関する同意に基づき、社会保障改革に関する3党協議を開始した。日本維新の会は「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」で国民医療費総額を年間で最低4兆円削減することを提案し、先行実施策として「OTC類似薬の保険適用除外」を強く求めている。
OTC類似薬の保険適用除外には①患者の経済的負担の増加、②受診抑制による健康被害、③OTC類似薬の適正使用の阻害等の問題が指摘されている。
保険料を支払っているにもかかわらず適切な医療を受けられないことは不合理である。必要な医療は保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念を堅持し、OTC類似薬の保険適用除外を実施しないことを求めた。
マイナ保険証更新手続による混乱も懸念
厚労省は2月のマイナ保険証の利用率が約26%だったことを明らかにした。12月~2月の利用率はほぼ横ばいで、2024年初めから続いていた利用率の上昇は止まっている。2月のマイナ保険証の利用登録の解除申請は1万724件で、累計では6万9150件となっている。政府の強力な利用推進策にもかかわらず、利用率の上昇が止まったことや、解除申請数が増えていることは、マイナ保険証に対する国民の不安・不信の表れである。
マイナンバーカードの電子証明書が切れるとマイナ保険証は使用できなくなる。2025年には2700万人以上が電子証明書の更新を迎えるといわれており、大量の更新手続きによる混乱も懸念される。また、未だに医療機関の窓口でマイナ保険証に関するトラブルが相当数あり混乱が続いている。
こうした問題を解決するために、立憲民主党が国会へ上程している保険証復活法案を早期に審議することと、後期高齢者だけでなく、全世代に資格確認書を一律交付することを求めた。
高額療養費制度改悪は白紙撤回を
医療費の患者負担を一定以下に抑える高額療養費の自己負担上限額について、石破首相は2025年8月からの引き上げは見送るとしたが、あくまで引き上げ方針そのものは撤回していない。
高額療養費制度をめぐる今後の方針については、引き続き社会保障審議会医療保険部会で検討される予定だが、どのようにして患者や国民の声を反映するかについては具体的な方法が示されてない。日本医師会の城守国斗氏は4月3日の医療保険部会で、「12月までの部会で自己負担上限額の引き上げについて合意されたわけではないにもかかわらず、1月23日の部会では引き上げが協議事項ではなく報告事項として報告された」旨の発言をしており、医療保険部会の意思決定プロセスに瑕疵があったことは明白である。
高額療養費制度は、3割という高額な窓口自己負担を採用している日本の健康保険制度において、必要な医療を保障するセーフティネットであり、国民の生命に直結する制度の根幹である。誰もがお金の心配なく必要な医療を受けられるよう、高額療養費の自己負担上限額の引き上げを白紙撤回することを求めた。
面談した議員からは、「お金がある人しか医療を受けられない状態になってはいけない。人口が減っているので、一人ひとりのいのちと健康を大事にしなければ国が持たない」「高額療養費制度を考える超党派の議員連盟ができたが、会長の武見前厚生労働大臣は、総理の意向に反する要求は出せないと明言している。命の選別を正当化するような意見も一部議員から出ており、注意が必要だ」「OTC類似薬の保険外しで健康被害が発生すれば余計に医療費がかかるのではないか」「物価上昇率に対して、診療報酬での対応はまったく不十分で、これでは医療機関がやっていけるはずがない」「一つひとつの薬にはそれを使用している大勢の患者がいる。実態を把握することなく、いきなり保険から外すことは許されない」「カードリーダーの不具合が今も続いていることは驚きだ。電子証明書の有効期限切れで医療機関の窓口で資格確認ができない事例が大幅に増加していること等、協会のアンケートはとても参考になる」などの意見が出た。
昼には、参議院議員会館講堂で「保険証を返せ!医療機関の危機を打開せよ!」集会が保団連の主催で行われた。
(『東京保険医新聞』2025年5月5・15日号掲載)