公開日 2025年07月06日
港支部は6月18日に臨時総会を開催し4人が参加した。総会議事として、欠員となった評議員の選出を行い、越智小枝会員を評議員とした。話題提供として、電子処方箋の最新情報を取り上げた。
尹太明支部長は開会挨拶の中で、「政府はオンライン資格確認に続いて電子処方箋の導入を医療機関に求めている。本会では電子処方箋がどういうものなのか、学んでいきたい」と述べた。
電子処方箋の普及状況は、2025年6月1日現在、医科診療所19・3%、病院13・2%、歯科診療所4・5%に対し、薬局は82・1%とすでに8割を超えている。電子処方箋の導入は義務ではないが、政府は課題として医療機関の環境整備や利用しやすい仕組みづくりを挙げ、強力に推進している。
電子処方箋を利用できるようにするためには、電子処方箋管理サービスを利用できるシステムの環境整備と、HPKIカード等の電子署名をできる体制を整える必要がある。電子署名にはローカル署名とリモート署名があり、リモート署名で行う場合は、マイナカードによる認証やスマートフォンによる生体認証でも電子署名が行えるなど、HPKIカード以外でも対応することができる。導入にあたっては、申請や事前準備が必須だ。そのための費用も負担しなければならない。補助金も存在するが、電子処方箋の導入費用だけで、導入後のランニングコストは補助されない等、医療機関の労力と費用負担が大きい。
参加者からは「電子処方箋を使えるようにするためには、システム改修のみならず、HPKIカード等で電子署名をできるようにする体制を整えなければならないのは大変面倒だ」「政府は電子処方箋を推進しているが、これまで電子処方箋にしたいという患者は皆無だ。必要性を感じない」「医療機関の負担が増えて、システム改修等を手掛ける業者が単に儲かる仕組みなのではないか」等の批判的意見が出た。また、「紙の処方箋と電子処方箋が併存することで、患者が戸惑うのではないか」「患者に電子処方箋について質問されたときに、医院として説明をできるようにしておかなければならない」と患者の混乱を憂慮する意見も出た。
電子処方箋をめぐる問題点等を共有・意見交換し、盛会のうちに閉会した。
(『東京保険医新聞』2025年7月5日号掲載)