診療報酬 会員アンケート 期中改定および次期改定で不合理是正を

公開日 2025年07月28日

 全国保険医団体連合会(保団連)が実施した「生活習慣病の医学管理並びに感染症対策に係る診療報酬上の評価に関する会員アンケート」の結果がまとまった。

 アンケートは、全国の保険医協会・医会と協力し2025年3月11日〜4月11日にかけてFAXにより実施され、生活習慣病については43都道府県から5070件、感染症対策は同じく4904件の回答があった。東京都内からの回答は生活習慣病が合計517件(無床診療所486件、有床診療所10件、病院18件、不明3件)、感染症対策は合計495件(無床診療所468件、有床診療所8件、病院19件)であった。

 以下、東京都内の集計結果について紹介する。全国分の集約については、『全国保険医新聞』6月25日号より掲載が始まった。

 ※ 回答の割合の表記は小数点以下を四捨五入。

◆ 生活習慣病管理料 広すぎる包括範囲

 2024年6月改定で新設・再編された生活習慣病管理料ⅠⅡは、療養計画書の交付や多くの点数と併算定不可といった算定要件がある。

 療養計画書の有用性に対して、「あまり役立っていない」が39%、「全く役立っていない」が23%の回答であった一方、「役に立っている」「少し役に立っている」を合わせて36%の回答も寄せられた(図1)

 併算定不可を不合理と感じる点数については、「外来管理加算(生活習慣病管理料算定時のみ)は18%、「特定疾患処方管理加算」は17%の回答があった(図2)。いずれの点数も、特定疾患療養管理料とは併算定可能で、改定による影響が大きいと言える。

 点数の包括範囲に伴う影響に対しては、「生活習慣病管理料の包括範囲が広すぎると感じた」と48%が回答した(図3)

 自由記述欄には、「悪性腫瘍特異物質治療管理料、傷病手当金意見書交付料、療養費同意書交付料など3疾患に関係ない疾患の管理にかかわる項目まで包括されるのは道理に合わない」「コピーのトナー代、用紙などが値上りしているにもかかわらず3~4カ月に1回療養計画書を渡さないといけないのは院長の負担と金銭面の負担両方に及んでいる」との声があった。

◆ 感染症対策 「評価されていない」7割

 感染症対策への診療報酬上の評価について、「あまり評価されていない」が53%、「全く評価されていない」が21%の回答であった(図4)

 理由は、「発熱外来対応のためのスタッフ増員・手当増額等に要する費用に見合っていない」が308件、「感染症対策に必要な物品代の高騰(消毒液、マスク、PPEなど)に見合わない」が286件であった(図5)

 回答者からは、「手袋マスク、防護服の用意が必要。時間・場所も一般診療と分けているので、その手当てが欲しい」「感染のリスクが経費と見合っていない」「手間がかかる割に点数が低い」などの意見が寄せられた。

◆ 期中改定待ったなし 一刻も早い不合理是正を

 自由記述欄には他にも「総収入が上がらなければ看護師や事務員の給料も上げられない」といった切実な声があった。また、「一カ月の間に2回発熱する人もいるのでその都度発熱患者等対応加算を算定できるようにしてほしい」といった具体的な要望があった。

 協会では保団連が2025年2月に行った、「物価高騰に関する医療機関の緊急影響調査」をもとに、5月28日に、「診療報酬の期中改定を求める緊急要望書」を提出した。今後も会員の声に耳を傾け、不合理是正に向けて活動していく。

 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(『東京保険医新聞』2025年7月25日号掲載)