公開日 2025年10月22日

- 山岸一生議員(衆・立憲/中央)

- 山添拓議員(参・共産/右)
協会は9月25日、国会議員要請を行い、吉田章副会長、中村洋一副会長、細部千晴理事が参加した。
①医療のあり方を変質させる“医療法改定案”は抜本的な見直しを行うこと、②医療費の削減策を実施しないこと、③保険証の新規発行再開と資格確認書の一律発行の3点について東京都選出の国会議員に要請した。
当日は、山岸一生(衆・立憲)、山添拓(参・共産)各議員および、伊藤俊輔(衆・立憲)、中島克仁(衆・立憲)、松下玲子(衆・立憲)、円より子(衆・国民)、田村貴昭(衆・共産)、田村智子(衆・共産)、櫛渕万里(衆・れいわ)、釜萢敏(参・自民)、鈴木大地(参・自民)、塩村あやか(参・立憲)、川合孝典(参・国民)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、天畠大輔(参・れいわ)各議員秘書と面談した。
医療法改定案、拙速な審議に懸念
秋以降に開催される臨時国会で審議が見込まれる医療法改定案は、①地域医療構想の見直し等、②医師偏在是正、③医療DXの推進を3つの柱としている。
地域医療構想の見直しの一環として、法案は新たにオンライン診療受診施設を法的に位置づけること等により、オンライン診療を推進するとしている。しかし、既にオンライン診療の指針違反によるトラブル報告が相次いでおり、十分な規制が確立しないまま導入されれば患者に深刻な健康被害をもたらしかねない。
また、「医師偏在」対策として、法案は「外来医師過多区域」での新規開業に事前届出を義務づけ、違反時には過料を科す内容を盛り込んでいる。しかし、日本はOECD加盟38カ国中33位と医師数が少なく、根本的には「不足」の状態だ。開業規制よりも、医師養成数の拡充や不足地域・診療科への支援を国の責任で進めるべきだ。
さらに、「医療DXの推進」において、法案は電子カルテ情報を患者の同意なしに支払基金等へ提供可能とし、仮名化データの民間提供も認めるなど、情報の利活用に偏重しすぎている。一方で、個人情報保護強化や啓発のための予算はごくわずかしか確保されていない。拙速な制度導入や過度な規制、個人情報保護上の懸念があることから、改定案の見直しを求めた。
医療費4兆円削減策撤回求める
社会保障費抑制を目的とした「医療費4兆円削減策」にも改めて強く反対した。削減策で挙げられている病床削減は地方病院を直撃し、医療提供体制を崩壊させる恐れがある。患者団体等から大きな反対の声があり、一度は凍結された高額療養費制度の自己負担上限額引き上げが再度議論されようとしていることにも触れ、生命に関わる病気の治療を誰もが受け続けられるよう、白紙撤回を求めた。
さらに、OTC類似薬の保険適用除外についても、実質的な患者負担増や副作用被害の懸念から、実施しないよう強く要望した。
スマホ保険証でもトラブル医療機関は混乱
マイナ保険証の混乱が続く現場の実態を踏まえ、従来の保険証の新規発行再開・全世代への資格確認書の一律交付を再度要望した。9月19日から運用が始まったスマートフォンを利用した資格確認システム、いわゆるスマホ保険証についても、一部の機種を除きマイナ保険証のカードリーダーをそのまま使用することができず、医療機関の窓口でのトラブルが出始めている。医療現場の混乱を避けるためにも、保険証の復活、当面の措置としての資格確認書の一律交付を求めた。
懇談した議員からは、「OTC類似薬が保険適用除外となった場合、混合診療の問題が発生するのではないか」「医療情報の仮名化は匿名化とは異なり、他の情報を照合すれば誰の情報か分かってしまう恐れがある」「強引にマイナ保険証に一本化させようとしたことが混乱の元だ」等の発言があった。
昼には「もう限界 平和と社会保障を立て直せ!9・25いのちまもる総行動」集会が日比谷野外音楽堂で行われ、約2200人が参加した。
(『東京保険医新聞』2025年10月15日号掲載)


