公開日 2025年11月10日
10月12日、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京(医科・歯科)、神奈川、山梨の1都7県9つの協会からなる「保団連関東ブロック協議会」の主催で「地域から医療をなくすな!緊急決起集会」が都市センターホテルで開催され、関東圏を中心に各地の医師・歯科医師等医療関係者123人が会場に集まった他、WEBで71人、総勢194人が参加した。東京協会からは須田昭夫会長、吉田章副会長、中村洋一副会長、水山和之副会長、日下部浩理事、細部千晴理事が参加した(WEB参加を含む)。

当日の模様。保団連関東ブロックに所属する9つの協会をはじめ、全国から医師・歯科医師が集まった(10月12日、都市センターホテル)
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医療機関の苦しい現状を訴える日下部理事
埼玉協会の渡部義弘理事長は開会挨拶で、「関東ブロック全体でこのような緊急集会を開くのは数十年ぶりだ。過去20年間、医療界には厳しい風が吹き続けてきたが、いよいよ病院・診療所を問わず経営危機に瀕するまで追い込まれている状況だ。今回の集会で私たちの声をさらに広げて、診療報酬の大幅引き上げを実現させていこう」と呼びかけた。
来賓として谷田川はじめ衆議院議員(立憲民主党)、小池晃参議院議員(日本共産党)が挨拶した他、国光文乃衆議院議員(自由民主党)、阿部知子衆議院議員(立憲民主党)、梅村聡衆議院議員(日本維新の会)、上月良祐参議院議員(自由民主党)、小西洋之参議院議員(立憲民主党)からのビデオメッセージが紹介された。
全国保険医団体連合会の竹田智雄会長が挨拶し、「診療報酬が低く据え置かれている状況では、物価高に見合った賃金の引き上げは不可能で、医療現場の人手不足、労働環境悪化に拍車がかかっている。国民の健康と生命を守るために、医業経営を安定させる十分な原資となる水準まで、診療報酬を引き上げる必要がある。各協会・医会で議論されている日常診療での要求を汲みとって、省庁や議員への要請を旺盛に推進していく」と述べた。
赤字医療機関40%に 診療報酬引き上げを
続いて、神奈川協会の二村哲副会長が、関東ブロック協議会で9月に会員を対象に実施した経営実態調査の結果について報告した。2023年度から2024年度にかけて医科無床診療所の売上げが落ちており、事業所得の減収率は平均14%に及んでいる。特に内科は事業所得の減収額が510万円、減収率18%と落ち込みが大きく、2024年度診療報酬改定での医学管理料の組み換えの影響と見られると述べた(東京分の結果は下囲み参照)。
二村神奈川協会副会長は、地域医療を守るために、診療報酬の期中改定や国の責任による補助金等の緊急財政措置と、2026年度診療報酬改定で基本診療料を中心に少なくとも10%以上の引き上げを行うこと、併せて患者窓口負担を大幅に軽減することの3点を訴えた。

次世代の医師たちに将来の展望を
その後各協会の会員が登壇し、OTC類似薬の保険外しの問題や、物価高騰の影響、歯科の材料費や技工士問題等、医療現場の様々な実態について発言した。
東京協会からは日下部理事が「開業してから7年、患者は増えているものの収入はまったく上がらず、苦しい経営状況が続いている。若い医師が保険診療ではなく自由診療の美容医療に行ってしまう『直美』が問題になっているが、若手医師が将来の展望を描けなくなっているのは社会の責任だ。国に働きかけて、医療に十分なお金を投入させて、次世代に明るい未来を提供しよう」と呼びかけた。
最後に 集会決議 を全会一致で採択し、「頑張ろう」のコールを行った後に閉会した。
(『東京保険医新聞』2025年11月5日号掲載)


