公開日 2025年11月19日
2025年11月19日
厚生労働大臣 上野 賢一郎 殿
中医協委員 各位
東京保険医協会
審査指導対策部長 浜野 博
2026年度診療報酬の大幅引き上げ及び外来管理加算の存続を求めます
2020年を基準とした場合、2025年までに消費者物価指数は約12%増加していますが、診療報酬上の基本診療料(初診料、再診料等)は2020年以降、2024年度改定で初診料は3点(+1.04%)、再診料と外来診療料は2点プラス(+2.7%)されたにすぎません。その結果、全国保険医団体連合会が2025年2月に実施した物価高騰に関する医療機関の緊急影響調査によると、特に光熱費・材料費などが診療報酬改定で「補填できていない」との回答は91.8%に達しており、近年の急速な物価高騰に、公定価格である診療報酬が対応できていないことが明らかになりました。2024年度診療報酬改定で収入が「下がった」との回答は65.5%を占め、41.3%の医療機関が「10%以上」の減収に苦しんでいます。
日本医師会が実施した診療所の緊急経営調査においても、医療法人立の診療所の医業利益の赤字診療所は45.2%、経常利益の赤字診療所は39.2%となっています。
医業経営は病院、診療所を問わず危機的な状況です。医療機関の倒産件数も過去最多に迫るペースとなっており、このままでは地域で患者が必要な医療を受けられなくなります。次期改定では基本診療料を中心とした大幅な引き上げが必要です。少なくとも物価上昇率を上回るプラス改定を求めます。
また、財務省は、再診料の外来管理加算について「より重点的にかかりつけ医機能を評価する報酬項目が存在する中、幅広い併算定を認めつつ残存させてきたことの正当性が問われる。即刻廃止とするか、地域包括診療料等に包括化すべき」とする見解を示しています。しかし、外来管理加算は元より、かかりつけ医機能を評価した点数ではありません。外来管理加算は1992年度診療報酬改定で内科再診料と慢性疾患外来医学管理料を統廃合して設定されたものです。前身の内科再診料の時点で既に「理学療法、精神病特殊療法、処置、手術及び麻酔を行わなかった場合」に算定できるものとされ、内科系の療養管理の技術を評価したものです。外来管理加算となって以降は「計画的な医学管理を行った場合」に算定することとされており、本質的には医学管理料などの特掲診療料的な性格を有しています。「懇切丁寧な説明は当然」などとして廃止して再診料自体に包括化、算定要件化すべきものでも、地域包括診療料等に包括化すべきものでもありません。
低医療費政策により疲弊した医療提供体制を立て直すために、2026年度診療報酬改定等に向けて以下の項目について強く要望いたします。
記
一、2026年度診療報酬改定で基本診療料を中心とする診療報酬の十分な引き上げを行うこと。特に初・再診料は医師の技術料や医業経営を安定させるための必要なコストを含んだ適正な評価とし、少なくとも10%以上引き上げること
一、外来管理加算は廃止せず、存続させること
一、OTC類似薬の保険適用の見直し及び高額療養費自己負担額の引き上げ等、患者負担の引き上げを行わないこと
以 上
2026年度診療報酬改定等に向けた要望書[PDF:277KB]


