公開日 2025年12月03日

- 末松義規議員(衆・立憲/写真右)

- 原口一博議員(衆・立憲/写真右)

- 田村貴昭議員(衆・共産/写真右)

- 小池晃議員(参・共産/写真左)
協会は10月30日、国会議員要請を行い、中村洋一副会長と細田悟理事が参加した。
①地域医療を守るため、財政措置および診療報酬大幅引き上げを実施すること、②資格確認書を一律発行し、保険証の新規発行を再開すること、③OTC類似薬の保険適用除外を撤回すること、の3点について東京都選出の国会議員に要請した。
当日は、末松義規(衆・立憲)、原口一博(衆・立憲)、田村貴昭(衆・共産)、小池晃(参・共産)、各議員および、大空幸星(衆・自民)、中島克仁(衆・立憲)、松下玲子(衆・立憲)、くしぶち万里(衆・れいわ)、吉良よし子(参・共産)、山添拓(参・共産)各議員秘書と面談した。
財政措置と診療報酬大幅引き上げを
中医協では現在、2026年度診療報酬改定に向けた議論が行われている。診療側からは医療機関の経営状況を踏まえた対応を求める意見が出ている一方で、支払側からは、給付と負担のバランスを考慮した「メリハリ」のついた改定を求める声が上がっている。
医療機関の経営悪化は、病院・診療所を問わず、深刻な問題だ。保団連関東ブロック(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、東京歯科、神奈川、山梨)の各保険医協会が合同で実施した会員アンケートでは、2023~24年度にかけて医科の無床診療所の売上げが落ち、事業所得の減収率は平均14%に及んでいることが明らかになっている。
地域医療を存続させるため、医療機関の経営を支える具体的な措置が必要であることは、医療界全体の共通認識だ。支払側の主張する「メリハリのある改定」、つまり特定の領域だけ引き上げて別の領域を下げるような改定では、医業経営を守ることはできない。基本診療料を中心とした大幅な引き上げが必要不可欠だ。
未だにトラブル続きのマイナ保険証
マイナ保険証での資格確認については現在でもトラブルが続いている。6月にはオンライン資格確認システムが医療機関で利用しづらくなる障害が全国的に発生した他、10月13日には愛知県名古屋市でシステム障害の影響により245人のマイナカードが失効し、同市は再発行までに保険証が必要となる人に向けて資格確認書の発行を呼びかける事態となった。
厚労省は、移行期の暫定的な取り扱いとして、有効期限が切れた健康保険証での受診を2026年3月末まで認める事務連絡を発出したが、公的書類の有効期限切れを半年以上も認めるのは異常だ。
デジタル方式への一本化は脆弱性を高める。アナログの資格確認手段として、当面は資格確認書を全被保険者に一律で発行すること、そしてこれまでの健康保険証(被保険者証)の新規発行を再開すること(一律の発行を法的に位置づけること)を求めた。
OTC類似薬の保険適用除外の撤回を
10月20日に自民党と日本維新の会との連立政権が樹立されたことによって、日本維新の会が従来から強く主張している医療費抑制策が押し進められる恐れがある。OTC類似薬に関して、日本維新の会は具体的に保険給付から除外する具体的な薬剤名として28有効成分を示し、最大1兆円の医療費削減を目指すことを要求している。この中には皮膚保湿剤のヘパリン類似物質など、日常診療で広く処方されている薬も含まれており、患者負担の増大につながるとして、複数の患者会からも反対の声が上がっている。
近年、若者を中心にした市販薬乱用(OD=オーバードーズ)が社会問題となっているが、セルフメディケーション推進政策がその一因となっていることが指摘されている。セルフメディケーションの過剰な推進、健康の自己責任化は、医療のあり方そのものを破壊する恐れがある。国民のいのちと健康を守るために、OTC類似薬の保険適用除外の撤回を求めた。
懇談した議員からは、「医療機関の支援はすぐにでも進めなければならない」「病院の病床稼働率が90%以上だったとしても赤字というのは他業種では考えられないことだ」「OTC類似薬の保険適用除外はありえない。患者負担の増大と患者の症状悪化が懸念される点から強く反対していく」等の発言があった。
昼には、星陵会館で「地域医療をまもろう!診療報酬の大幅引き上げを求める大集会」を開催し、全国から医師・歯科医師、看護師などの医療従事者530人(現地200人、Web330人)が参加した。
会場には与野党から11人の国会議員が駆けつけ、診療報酬の引き上げ、医療機関の支援に力を尽くしたいとそれぞれ挨拶した。集会の最後に、医療機関の経営危機打開に向けた臨時国会中の財政措置、2026年度診療報酬改定での診療報酬の大幅引き上げを求めるアピールを採択した。

- 診療報酬の大幅引き上げを求め、出席した国会議員を交えて力強くアピールした(星陵会館、10月30日)
(『東京保険医新聞』2025年11月25日号掲載)


