港支部例会 オンライン資格確認や診療報酬改定の最新情報

公開日 2025年12月10日

 港支部は10月15日にTKP田町カンファレンスセンターで例会を開催し、6人が参加した。尹太明支部長の開会挨拶の後、話題提供として、オンライン資格確認及び2026年度診療報酬改定の最新情報を取り上げた。

マイナ保険証で不合理な返戻

 スマホ搭載のマイナ保険証(以下スマホ保険証)が9月19日から開始している。厚労省は医療機関が汎用カードリーダーを購入するための補助事業を実施するなど環境整備を進めている。スマホ保険証への対応は任意であるため、対応可能施設は9月18日時点で全体の医療機関・薬局のうち2割程度に留まっているが、スマホ一つでどこの医療機関でも受診できると思い込んだ患者と窓口トラブル等が起こる可能性がある。

 参加者からは「スマホ保険証の実証事業で患者・職員から意見が出されていたが、いずれもマイナ保険証の問題点の本質を捉えていない。設定や操作方法が問題なのではなく、医療情報の漏洩や民間企業による利活用が懸念すべき事項だ。患者や国民には本質的な問題を理解してほしい」「マイナ保険証で資格確認できなかった場合の対応方法を厚労省はいくつか示しているが、資格喪失等により結局レセプトが返戻される事例があることを聞いている。厚労省の示す方法はあてにならないし、そのような問題があることをもっと世間に周知すべきだ」といった意見が出された。

OTC類似薬の保険外しには断固反対を

 4月に実施された自民党、公明党、日本維新の会の3党協議で、日本維新の会はOTC類似薬を保険給付から除外する具体的な薬剤名として28有効成分を示し、最大1兆円の給付削減を主張した。4月23日の財政制度等審議会では財務省がOTC類似薬の保険適用除外の手法として新たな選定療養化を提案した。処方薬を保険給付対象外として全額自己負担化するものであり、選定療養をなし崩し的に適用した保険給付外しは容認できない。

 参加者からは「患者が一般薬を服用して症状が出ていない状態で受診されて困ったことがあった。OTC類似薬が保険適用除外になれば、そういう事態がもっと起こるかもしれない」「OTC類似薬が保険適用除外されたら、患者が長期間服用して深刻な副作用が出てくる可能性がある」とセルフメディケーションの危険性を憂慮する声が次々に出た。

 中医協では次期診療報酬改定の議論が本格化している。診療側は大幅なプラス改定を求める一方で、支払側は「メリハリのついた改定」を主張しており、診療所に厳しい改定が実施される懸念がある。今後の議論でどこまで診療側の意見が通るかが焦点だ。次期診療報酬改定については、「日医の緊急経営調査で明らかなように、病院だけでなく診療所の経営も危機的だ。診療報酬改定の大幅な引き上げを求めたい」と切実な声が出た。

 医療界が一体となって診療報酬改定の大幅な引き上げを求めていくことを確認し、盛会のうちに閉会した。

 

(『東京保険医新聞』2025年12月5・15日号掲載)