公開日 2026年05月22日

- 辰巳孝太郎議員(衆・共産/左)

- 白川容子議員(参・共産/左)
協会は4月23日、国会議員要請を行い、細部千晴副会長と日下部浩理事が参加した。
①原油供給逼迫に伴う医療資材の不足・高騰への対応を求めること、②診療報酬改定を見直すこと、③患者負担増を撤回すること、④全ての被保険者が保険資格確認できる手段を確保すること、の4点について東京都選出の国会議員を中心に要請した。
当日は、辰巳孝太郎(衆・共産)、白川容子(参・共産)各議員および、今岡植(衆・自民)、門寛子(衆・自民)、川松真一朗(衆・自民)、菅原一秀(衆・自民)、鈴木隼人(衆・自民)、長澤興祐(衆・自民)、森原紀代子(衆・自民)、山田美樹(衆・自民)、田村智子(衆・共産)、峰島侑也(衆・みらい)、生稲晃子(参・自民)、かまやち敏(参・自民)、自見はなこ(参・自民)、天畠大輔(参・れいわ)各議員秘書と面談した。
医療物資不足や物価高騰への対応を
国際情勢の悪化に伴い、原油・ナフサの供給逼迫と価格高騰が進んでいる。医療現場でも、感染防止対策に必要な医療用ガウンやビニール手袋等の衛生材料をはじめ、注射器やカテーテル、点滴バッグ、手術時に使用する廃液容器等の医療資材の調達不安・コスト増が広がっている。
医療資材の安定供給確保のため、国として在庫状況の把握、代替調達先の確保、生命維持に関わる資材への優先配分等の方策の具体化を要請した。加えて、医療資材の高騰を踏まえ、来年度の予算編成を待たず、臨時的な物価対応料等の引き上げ、機動的な特定保険医療材料価格の見直し、補助金等の支援を求めた。
診療報酬改定の見直しを求める
2026年度診療報酬改定では、初診料は据え置き、再診料はわずか1点(10円)の引き上げだ。物価対応料を勘案しても、この間の物価高騰に見合う引き上げ幅ではなく、実質的な改定率は0・25%にとどまっている。
賃上げの原資とされるベースアップ評価料は大きく引き上げられたものの、25年度人事院勧告の3・62%より低い水準である。ベースアップ評価料の問題点として、届出の有無によって医療機関毎に診察料に最大40点(400円)の差が生じ(無床診療所・初診料の場合)、同じ診療内容にもかかわらず患者の自己負担額に大きな変動が生じることがある。全国一律の公定価格として、医療へのアクセスを保障した保険診療の趣旨に反している。
全ての医療機関が健全な経営を維持できるよう、条件付きの点数ではなく、初・再診料を引き上げるよう求めた。
患者負担増の撤回を
政府は健康保険法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、OTC類似薬の薬剤費の4分の1を患者負担とすることを盛り込んだ(4月28日に衆議院本会議で可決され、参議院へ送付)。その対象は77成分・約1100品目にも上る。あわせて、高額療養費制度については、自己負担上限額の引き上げなどの見直しが進められている。
これらは医療保険制度の持続可能性や負担の公平性を理由としているが、厚生労働省の試算によると高額療養費制度の見直しで削減される保険料は1人あたり月約116円、OTC類似薬については月約33円に過ぎない。
OTC類似薬の自己負担増により、患者の自己判断による受診控えを制度として促すことは、重症化による医療費増大、市販薬の誤服用等による健康被害や、若者に広がる一般薬のオーバードーズの助長を招くおそれがある。
高額療養費制度は、重い医療費負担から患者を守る重要なセーフティネットであり、全国保険医団体連合会が患者団体等と呼びかけた高額療養費の自己負担引き上げ撤回を求めるオンライン署名では、30万筆超が集まるなど、多くの患者・その家族が制度改悪反対の声をあげている。
OTC類似薬の4分の1の自己負担化や高額療養費制度の見直し等の、患者負担増政策を撤回するよう求めた。
未だ続くマイナ保険証のトラブル
厚労省は3月25日、有効期限切れの健康保険証が使用できる特例措置の期限を3月末から7月末まで再延長した。この特例措置自体、マイナ保険証による混乱が今も続いている証左である。全国保険医団体連合会のアンケート調査では、約7割の医療機関が2025年8月以降もマイナ保険証による資格確認でのトラブルを経験していることが明らかになっている。
また、大阪府の後期高齢者医療広域連合は問い合わせ対応の負担増の懸念等から、後期高齢者全員に資格確認書を一律交付することを決定しており、マイナ保険証に一本化する方針は現場の実態とは乖離している。
資格確認機能をマイナ保険証に事実上一本化することは、トラブル時の資格確認を困難なものにし、患者の受療権を奪うことに繋がりかねない。資格確認書の一律交付等、全ての被保険者がトラブルなく資格確認できる手段を確保するよう要請した。
懇談した議員からは、「医療機関は基本診療料が経営の原資となる。改定率プラス3・09%ではそもそも足りないが、その中でも基本診療料への配分はわずかであり、医療機関の経営が維持できなくなる」「医療DXによる地域の医療機関の閉院を身近なところでも実感している。医療法改正で電子カルテ普及率100%を目指すことが明記されたが、地域医療への影響を懸念している」「医療提供体制のあり方は国内の重要な問題であり、利害関係者も含めて検討したうえで緻密な制度設計に取り組みたい」等の発言があった。
昼には、衆議院第二議員会館前で「安心して医療を受けたい!薬の追加負担はおかしい!」アピール集会を開催し、180人が参加した。駆けつけた国会議員が挨拶した後、全国各地の医師・団体によるリレートークが行われ、OTC類似薬の負担増中止を訴えた。
(『東京保険医新聞』2026年5月5・15日号掲載)


