[要望書]通院・在宅精神療法における非精神保健指定医が実施した場合の減算規程の撤回を求める要望書

公開日 2026年06月08日

2026年5月27日

厚生労働大臣 上野 賢一郎 殿

  東京保険医協会

        審査指導対策部長 品沢 聡

 

通院・在宅精神療法における非精神保健指定医が実施した場合の減算規程の撤回を求める要望書

 

 2026年6月に実施される診療報酬改定では、I002通院・在宅精神療法「精神保健指定医以外が行う場合(支援計画担当医を除く)」の点数について、厚生労働大臣が定める施設基準を満たせない場合は所定点数の100分の60に相当する点数を算定することになりました。
 しかし、これは精神保健指定医以外の医師の役割を不当に評価したものです。
 精神保健指定医は、地域援助の乏しい我が国の事情では治療処遇の難しい患者の治療に、指定された公的施設で医療保護入院、措置入院、隔離などの行動制限という、いわゆる「強制的な治療で患者を守る」法的な判断をする権限を持っています。しかし、幅広い症状を抱えた患者の訪れる「精神科医療機関」での外来診療では、「法的な精神保健指定医としての役割」が直接求められているわけではありません。そもそも役割自体が違うのです。
 「EU諸国では、強制入院手続きに医療から独立した代理人の関与が義務付けられており、これにより強制入院の割合が有意に低い傾向がある」(厚生労働省)と、現行の強制入院処遇にさまざまな問題点があることは厚生労働省自身が認めているところです。
 日本精神神経学会も精神保健指定医の制度が出来た際には、診療報酬に差を設けないと述べていました。精神障害者の地域処遇、強制入院の抑制は、WHOも日本精神医療に求めているところであり、世界の趨勢です。実情を深く理解した経験ある精神科医への更なる評価は求められるところですが、非指定医への不当評価はこれに逆行する施策といわざるをえません。外来では強制治療を行わないことからあえて資格更新をしなかった医師、強制治療に疑問を持ち誠実に治療を行っている医師、児童精神科医として外来診療を行っているため精神保健指定医を取る余裕(時間、経済、代替の医師)が全くない医師が「このままではクリニックを閉じなくてはならない」と、多くの医師が意見を寄せています。
 精神科の外来医療・在宅医療は、今後ますます必要性が増していきます。このような非精神保健指定医にたいする減算が実施されれば、外来・在宅医療で精神科を担う医師が減少し、最終的に困窮するのは精神医療を必要とする患者自身です。
 また、そもそも精神科診療への診療報酬が他科に比べて異様に低いことが、入院、外来ともに、丁寧な診察、精神医学に基づく医療では経営維持できない仕組みになっており、それがゆえに、安易な大量投与、安易な診断、短時間の治療、精神科診療報酬を不当に利用して「荒稼ぎ」をする「チェーン店様診療所」が出現することになっていると思われます。今回のような改定では、それらの安易な診療様式は減らすことはできないと考えます。
 以上の理由から、2026年度診療報酬改定では非精神保健指定医への減算実施の撤回を強く求めます。

以 上

 

通院・在宅精神療法における非精神保健指定医が実施した場合の減算規程の撤回を求める要望書[PDF:8.81KB]