オン資義務不存在確認等請求訴訟 控訴審が結審 判決は9/16

公開日 2026年06月30日

 6月10日(水)、「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」控訴審の第3回口頭弁論が東京高裁101号法廷(三木素子裁判長)で開かれた。弁護団と全国から集まった原告18人が原告席に立ち審理に臨んだ他、66人が傍聴した。

 今回の口頭弁論で結審となり、判決は9月16日(水)13時40分に101号法廷で言い渡されることが決まった。

 
 記者・原告説明会の模様(6月10日、AP虎ノ門)

原告から意見陳述2件提出 国からは反論なし

 原告側は準備書面及び追加の証拠として、オンライン資格確認の義務化により閉院を決意した、あるいは義務化により大きく医業経営の圧迫を受けている医師・歯科医師からの陳述書2件を提出した。国側から新たな反論はなかった。

 口頭弁論終了後、AP虎ノ門会議室で記者・原告説明会を開催し、記者・原告等66人が参加した。はじめに、先般逝去された原告の1人である宇佐美宏千葉協会副会長への黙とうが行われた。

 開会にあたり、須田昭夫原告団長は「日本の医療は世界最高の水準でありながら誰でもアクセスできる体制を守り続けてきた。しかし、政府の進める強引な医療DXはそれを崩すものになっている。日本の医療を守るため、気を引き締めて判決に臨みたい」と挨拶した。

 続いて挨拶した竹田智雄全国保険医団体連合会会長は「政府はこれまでの拙速な医療DX推進に加え、電子カルテ義務化、個人情報保護法改正による医療情報の第三者提供の本人同意不要化等を進めており、強い懸念を持っている。国民皆保険の維持、発展のため今後も尽力したい」と述べた。

医療機関を追い詰めるオン資義務化

 陳述書を提出した石毛清雄原告(千葉協会・歯科医)は、「元々歯科の診療報酬は長年低く抑えられ、厳しい状況が続いていた。なんとか経営を続けてきたが、オンライン資格確認の義務化に伴うセキュリティ等のランニングコストに対して何の補助もなく、毎月費用がかさんでいった。さらに、受付でトラブルが起こる度に対応に追われる等、様々な面で経営を圧迫され、2027年1月を目途に閉院することを決めた」と切実な状況を訴えた。

 続いて、弁護団の二関辰郎弁護士がこれまでの控訴審の議論についての振り返りと今回の準備書面の内容について解説し、質疑・意見交換を行った。準備書面の主な主張は下表の通り。

裁判は民主主義を作る方策

 その後、全国から集まった原告の中から藤田倫成神奈川協会理事、橋本健一東京歯科協会理事、島津俊二兵庫協会評議員がフロア発言を行った。

 弁護団長の喜田村洋一弁護士はこれまでの控訴審の内容を振り返り、「一審判決後、私たちは総見直しを行った。憲法、行政法を専門とする教授からそれぞれ意見書を提出いただき、過去の委任命令の適法性・違法性を判断した最高裁判例11件を全て精緻に分析し、準備書面に組み込んだ。勝利を勝ち取ることができるよう最後まで力を尽くしたい」と述べた。

 最後に、中村洋一東京協会副会長が「全国の原告、協会・医会の皆様に本訴訟へのご協力をいただき、感謝申し上げる。政府による医療DXは、医療現場や法律を無視して推し進められている。喜田村弁護団長が指摘されるとおり、裁判は民主主義を作る方策であるとの思いを胸に、これからも闘いを続けていく」と締めくくり、閉会となった。

 
 意見陳述書を提出した石毛清雄原告は、オンライン資格確認の義務化が現場を疲弊させ、医業経営を圧迫していることを訴えた

 (『東京保険医新聞』2026年6月25日号掲載)