3ワクチン定期接種化が実現 田村厚労大臣に要請―水痘、耳下腺炎等の定期化求める

公開日 2016年07月03日

要請写真

2月4日、3ワクチンの定期接種化を受け、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会(守る会)、VPD(ワクチンで防げる疾患)を知って、子どもを守ろうの会(VPDの会)、日本小児科医会、千葉協会は田村憲久厚労大臣に要請。水痘・耳下腺炎・B型肝炎・ロタウイルス・小児インフルエンザなどの速やかな定期接種化を求めた。東京保険医協会からはVPDの会の会員でもある細部千晴理事が同席した。

大臣要請のなかで、守る会の田中美紀代表理事は、「全ての子どもがワクチンを受けられる体制を作って欲しいという思いで、まずは定期接種化を求めてきた。ようやく一歩を踏み出せた」と今回の3ワクチンの定期接種化を評価するとともに、「日本で認められている小児肺炎球菌ワクチンは7価のワクチン。他の国では10価、13価という新しいワクチンが開発され、導入されてきている。水痘、耳下腺炎なども含め、効果のあるワクチンはすみやかに定期接種にしてもらい、子どもたちの命を確実に守ってほしい」と訴えた。田村厚労相は、「水痘、耳下腺炎を定期接種化すると400~700億円程度といわれている。財源が確保できれば順次定期接種化を目指したい」と前向きに回答した。

田中美紀代表理事写真

東京保険医協会の細部千晴理事は、協会調査を元に3ワクチン全額助成の自治体で接種回数が増える傾向にあることを報告。「23区などの地方交付税不交付団体はこれまでの3ワクチン特例交付金も廃止され、年少扶養控除廃止増収分だけで3ワクチン無料化に対応しなければならない。確実に全自治体で無料化できるような仕組みを作って欲しい」と要請。田村厚労相は「地方交付税不交付団体の負担・影響が大きいのは確か。しかし、年少扶養控除廃止分で十分対応できる額にはなると思うので、一部負担が残らないように各自治体に配慮をお願いしたい」と語った。

東京協会は1月9日に田村厚労相宛に「子どもたちに必要なワクチンのすみやかな定期接種化を求める要望書」を提出し、住んでいる地域で接種費用の格差なく、無料で接種できるよう財源確保も含め、国策による制度構築を求めてきた。

3ワクチン定期接種化の実現は前進だが、国の負担を減らす一方で、住民税増税分の一部を財源に充て、自治体や住民に負担を押し付ける施策は無責任だ。「制度の充実は負担増で」という一体改革路線には歯止めが必要だ。

国の財源負担 大幅に軽減

「地域格差・経済格差なく、希望する全ての子どもたちにワクチンを」―予防接種制度の大幅な拡充を求め、運動を続けてきた関係者に朗報がもたらされた。

子宮頸がん、ヒブ、小児肺炎球菌の3ワクチンが来年度から定期接種化される。

3ワクチンの定期接種化は財務、総務、厚労3大臣で合意されており、今国会で予防接種法改正案が上程される予定だ。3ワクチンの定期接種化に要する財源は住民税・年少扶養控除廃止による増税分の一部を充て、それでも不足する分は地方交付税で補填する。

現在行われている3ワクチン接種事業は国が費用の45%を負担しており、同ワクチンの定期接種化により、国の負担は大幅に減ることになる。