公開日 2014年02月19日
2014年2月19日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
厚生労働省保険局医療課長 宇都宮 啓 殿
中央社会保険医療協議会会長 森田 朗 殿
東京保険医協会
会長 拝殿 清名
研究部長 申 偉秀
中央社会保険医療協議会(中医協)は2月12日、2014年度診療報酬改定答申を行った。今回の改定では院内処方で24時間体制の在宅医療、健康管理を行うなど通常の診療体制の診療所ではとても届出はできそうにない地域包括加算や、 同一建物居住者とそれ以外の居宅療養者の在宅点数とではあまりに著しい格差となっており、とりわけ診療所にはきびしい改定だと言うという声が上がっている。
その中で「在宅不適切事例の適正化」として在宅患者訪問診療料、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料では、同一建物居住者にはそれ以外のものと比較して、現点数の25%程度に点数が設定された。また同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)では「同一日に2人」の場合は適正な評価が行われたが、「同一日に3人以上」の場合では「同一日に2人」の場合と比較して50%程度の点数が設定された。
特に在宅患者訪問診療料(同一建物居住者・特定施設以外)の場合は103点と、再診料と外来管理加算の合計124点にも及ばない。また在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料は個々の在宅患者への総合的な医学管理を評価した点数であり、同一建物居住者の場合であることを理由に、所定点数を大幅に引き下げることは著しく不合理である。また在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)においても、指導・看護を評価した点数であり、「同一日に3人以上」の場合で50%の点数が設定されたことは、同様に著しく不合理である。このような低い点数では同一建物居住者等に必要な指導、管理、看護は不可能である。
「在宅不適切事例の適正化」のための改定としているが、在宅医療を実施している圧倒的多数の医療機関は多忙ななか、時間を確保して適切に患者の指導、管理、看護を行っているのが実態であり、同一建物や訪問件数を基準にして同列の取り扱いで点数を引き下げるべきではない。在宅患者が増加する中、このような不適切な報酬の運用が実行されれば、真摯に在宅医療を実施している医療従事者の意欲を著しく削ぐことになる。実際に「この点数では年間1500万円のマイナスとなる」との医療機関もあり、経営に大きな悪影響を及ばすことが懸念される。不適切事例に限って、適正化をすべきである。
よって、以下の事項を早急に実施すること求めるものである。
記
一、在宅患者訪問診療料、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)の改定は当面凍結して、現行の点数を算定できるようにすること。
一、「在宅不適切事例」の定義を中医協で論議して、論議内容に応じて事例の評価を再度行い慎重に実施すること。