豊洲新市場と都政の闇―共産党都議団との懇談から

公開日 2016年11月04日

 今回の都議会では、豊洲新市場問題が最大の焦点になった。9月17日の協会役員との懇談(関連記事 参照)ではこの問題も語られた。
 共産党都議団は9月7日に豊洲新市場の建物下を調査し、盛り土もされず水が溜まっていることを確認。徹底検証するための提言を9月12日の記者会見で発表することを9月9日に明らかにした。その直後に、小池都知事が9月10日に緊急記者会見を開いた。
 大山都議は「土曜日の知事記者会見は異例中の異例」と述べたうえで、知事が水産棟や青果棟の建物下の盛り土が行われず、地下空間を認め発表し、専門家による安全性の確認とともに、経過を調べると表明したことについては評価するとした。

 一方、中央卸売市場の市場長は、盛り土を行わず、地下空間を造っていた責任を、外部有識者からなる「技術会議」に転嫁し、都の「自己検証報告書」に「盛り土の上に建設されていると理解していた」と虚偽の証言までしていた。これが明らかになり市場長は更迭された。大山都議は、このような都の姿勢を隠蔽体質だと厳しく批判した。

 豊洲新市場には様々な疑惑がある。海抜1.8メートル以下に管理するはずの地下水が、海抜5メートル前後に達していること、地下水管理システムを資格に欠けた企業が受注したこと、汚染対策や市場の建設などをめぐり大手ゼネコンと都による官製談合で、建設費がはね上がったのではないかという疑惑などだ。

 そのなかで最大の疑惑は、なぜ、土壌が汚染されている豊洲・東京ガス跡地に築地市場を移転させることになったのかだ。
 15年前、石原慎太郎元東京都知事から、築地の移転先として東京ガスの跡地購入を任されていたのが、当時副知事であった浜渦武生氏だ。共産党都議団は、長年にわたって都民と都議会を欺いてきた責任を厳しく追及し、真相を明らかにするために、百条委員会の設置を求めたが、自民党、公明党などの反対によって否決されている。

 同都議は「提案する側の趣旨説明さえ封殺した。問題を都民に明らかにし、解決する気があるのか、都議会の姿勢も問われる。百条委員会設置に反対した会派と議員は厳しい批判を免れない」と、異常な都議会運営を批判。「第3回定例都議会は終わったが、第4回定例都議会では改めて豊洲新市場問題の真相究明を求めていく。そのためには世論の大きな後押しが必要である」と語った。

(『東京保険医新聞』2016年11月5日号掲載)