公開日 2016年11月15日
- ギプス手当ての実習
- 非常食の試食
- 非常食などの物品販売
東京消防庁の小暮和弘氏は、まず命を守るための状況に応じた避難、家具類の転倒防止、日常備蓄、非常用持ち出し袋の準備など、防災の基礎知識をわかりやすく説明し、家族との連絡のとり方も含め、日頃の備えが大切であることを強調した。
宮城県保険医協会理事の横堀育子先生は、被災地ですら大震災の記憶が薄れるなかで、この市民講座は年に一度震災を思い起こす機会となっていると述べた上で、女川と南三陸の記録から、同地区の激しい人口減少などを語り、復興には程遠い当地の様子を伝えた。
同協会理事(前理事長)の北村龍男先生は、被災した患者さんの状況やそれを通じて感じたことを報告し、精神疾患患者の病状悪化や増加についても触れた。また、薬の処方に苦労した経験から、震災後は電子カルテのデータをスマホに保存していることを紹介し、避難する際はお薬手帳も持ち出して欲しいと呼びかけた。
健康管理講座ではサルビア会部員の医師が、応急処置や身を守るための判断材料を提供、避難所での心と体のケアなどを説明した。消灯して暗闇で包帯を巻く実習や、経口補水液の試飲を通じ、身の回りの物を代用する知識や予防の大切さ、水・塩等の備蓄の必要性を伝えた。
昼休みは、震災を乗り切るために必要なコミュニケーション能力を鍛えるべく、賑やかにゲームが行われた。非常食の試食では、参加者が電気やガスが止まっても水があれば温かい食事が食べられることを体験。また、復興支援を兼ねて東北物産品も販売した。
参加者からは、「消防庁のお話は一人でも多くの都民に知らせて欲しい」「非常食が温かく食べられることを初めて知った」「状況に応じた対処の仕方はとても役に立つ」「多くの方に参加いただきたい素晴らしい講座だった」などの感想が寄せられた。
(『東京保険医新聞』2016年11月15日号掲載)