在宅診療での摂食嚥下障害 食べる楽しみを連携で支える(練馬)

公開日 2015年09月25日

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 練馬支部は7月16日に「在宅診療における摂食嚥下障害の評価とケア」をテーマに合同例会を開催し、医科・歯科から20人が参加した。

 歯科の田中賦彦先生は「摂食嚥下機能の専門的評価」の中で、胃ろう患者の家族からの依頼で、嚥下機能の残存を確認して訓練の結果、表情が表れるようになる・声かけに反応するようになるなど家族の喜びが得られた例や、機能改善により食事時間が大幅に短縮し介護負担軽減につながった例などを挙げた。姿勢注意や訓練で嚥下機能はある程度改善する。患者には食べることそのものの楽しみがある。胃ろうにしても回復することがあることを伝えたいと強調した。また、練馬区では口腔内の検査と嚥下障害スクリーニングは委託事業のため、希望があれば無料で実施し、必要に応じて次へ進めることができると紹介。在宅患者に、むせ・食べこぼしなどの嚥下障害の疑いを感じたら、歯科医師会へ連絡してほしいと述べた。

 続けて「摂食嚥下障害患者の医科歯科連携症例」について、昨年12月の医科歯科連携研究会(東京医科・歯科と千葉協会合同)で幸運にも近医と知り合い連携が実現したという、申偉秀協会理事と歯科の吉田篤史先生から報告があった。介護の現場で、しゃべりたい・食べたいという患者の要望をサポートする医科。嚥下内視鏡で状況判断をして、それぞれに対応した嚥下訓練をしていく歯科。医科との連携により肺炎リスクへのバックアップが得られ、安心して訓練に取り組める。

 申理事は、「嚥下に取り組む訪問歯科は少なく、医科とのマッチングは難しい状況だが、実現すれば患者は恩恵を受ける。医師会と歯科医師会の関係が良好の練馬から、地区の連携を拡げたい」と結んだ。

(『東京保険医新聞』2015年9月25日号掲載)