医療機関の責任・負担が増大 マイナンバー、危険性の認識を共有(練馬)

公開日 2015年12月25日

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 練馬支部は10月28日にマイナンバーをテーマに支部例会を開催し、11人が参加した。協会保険医サポートセンターの奥津年弘税理士(東京あきば会計事務所)は「どうなる、どうするマイナンバー制度」と題し、医療機関に必要な実務対応と制度の問題点について話題提供した。

 奥津税理士は事務手続について説明した後、従業員に対し通知カードを紛失しないよう厳重な管理を促すとともに、医療機関としての番号取り扱い方針を示す文書例等を紹介した。

 産業競争力会議で検討されている、個人番号カードへの健康保険証機能の取り込みについては、病歴などプライバシー性の高い情報が流出する危険ばかりでなく、カードリーダーの設置やオンラインの維持など、医療機関の責任や負担が格段に重くなると指摘した。

 また、制度の背景には100兆円を超える財政膨張があり、対策としての社会保障費削減の手段であることから、今後銀行口座との紐付けにより、高い医療費負担割合の判定に利用される可能性もあると懸念を示した。

 参加者からは、「番号を提出しなくてもよいことが分かり安心した」「個人番号カードは絶対に申請するつもりはない」「国家が個人を管理する社会にしないよう、普及させないようにしたい」「医療機関がオンライン状態になることを利用して、カルテのクラウド化が狙われているそうだ」との意見や、制度普及により進むと予想される、貧困の連鎖と徴兵制の導入等を懸念する声も上がった。

(『東京保険医新聞』2015年12月25日号掲載)