東京反核医師の会・記念講演「表現の自由とテレビメディア」

公開日 2017年03月02日

170218_反核総会参加者

政治家「お前たち、勘繰れよ」と番組に介入

 2月18日、東京反核医師の会は第29回総会・記念講演を開催し、役員・会員ら43人が参加した。総会では原点に立ち返り原爆症認定と被爆者支援を継続するとともに、非核平和の国・日本をめざした運動に取り組むことを決定した。また、都内の被爆者団体である東友会業務執行理事の家島昌志氏を来賓としてお招きし報告を受けた。

 総会では、東友会業務執行理事の家島氏から、原爆症認定訴訟とそれに続くノーモア・ヒバクシャ訴訟について報告を受けた。家島氏は、「核兵器禁止への機運が国際的に高まっているが、日本政府は加わろうとせず、リードしていく姿勢とは程遠い。核で地球が滅びてしまうことがないよう、医療者とともに歩みたい」と述べた。

170218_反核総会・永田浩三先生

 記念講演では、「表現の自由とテレビメディア(の危機)について」と題して永田浩三武蔵大学教授(元NHKディレクター、プロデューサー)が権力により抑圧されている日本のマスメディアの状況を説明した。

 永田氏は、表現の自由が危ぶまれていると述べた。政治家がテレビ局幹部に直接「お前たち、勘繰れよ」と検閲に近い発言をし、番組の構成が変えられ、当事者の証言が消されてしまった自身の経験を紹介した。

 このような行為がまかり通る背景として、「放送法の第4条の2に、『政治的に公平であること』という文言がある。これは本来の趣旨では政見放送の時間を平等にする程度の意味合いだが、実際にはメディアは自分たちの判断で政権の批判を流してはならない、という間違った解釈がなされている。そして、これが政府のメディア介入の盾にされてしまっている」と訴えた。

 また、法案化が取り沙汰されている「共謀罪」は、なんでもない集まりが謀議と判断されれば、逮捕されてしまうものだ、と危険性を指摘した。

 参加者からは「やはり、メディアへの介入は行われているんだと実感した。共謀罪は絶対に阻止しなければならない」「アメリカの大統領選でファクトチェックというものを知るようになったが、きちんとした事実をわれわれが知る術を、メディアが提供することはできないのか」などの多くの質問や感想が尽きず、様々な意見が出された。

(『東京保険医新聞』2017年3月5日号掲載) 

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