保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

財政審「建議」 医療費圧縮「同時改定は絶好の機会」

公開日 2017年06月15日

5月25日、財政制度等審議会は、6月中に閣議決定される「骨太方針2017」に向け、社会保障費圧縮をさらに求める「経済・財政再生計画の着実な実施に向けた建議」を発表した。

社会保障分野では、毎年1兆円とされる自然増を、引き続き5,000億円以下に押さえ込むことが至上命題だと強調。2018年4月の医療・介護同時改定は、介護療養病床の廃止・転換、地域医療構想による医療機能の分化・連携の推進、地域包括ケア構築による在宅医療・介護連携などでの一体的な対応を行う絶好の機会であり、改定率では、賃金・物価の下落と診療報酬のギャップ、国民負担抑制の観点を挙げて、マイナス改定を求める姿勢を示した。

さらに、「75歳以上の2割負担」「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担」「後発品の平均価格を超える部分の原則自己負担化」を求めるなど、給付を狭め、患者負担をいっそう拡大する内容となっている。

2018年度には、地域医療構想の実現に向けた医療提供体制改革、医療費適正化計画の推進、国保の財政運営を都道府県が一体的に担うとされている。

このため医療・介護供給体制をコントロールする実効的な手段・権限を知事に付与するとして、域別診療報酬の活用方策の検討や、医療機能の転換等に係る民間医療機関への都道府県知事の権限拡大などを求めている。公的支出抑制に貢献した自治体には税金を使って褒賞を与えるなど「強力なインセンティブ」を働かせる仕組みの強化も謳っている。

受給者敵視、国民感情逆なでの建議

建議は冒頭、財政の赤字について「自らの直接的な受益に見合う負担を負わず、将来世代にこれらの負担を押し付けていることを意味する」と言い放つなど、給付を受けている子どもや低所得者、障害者や高齢者を敵視するともとれる文言で始まっている。

さらに「予見可能な形で給付の削減や負担の増加を行うことは、国民が安心して消費でき、企業も投資を行うことができる環境を整備し、経済成長につながる」と述べるなど、国民感情を逆なでする文書が続いている。

賃金の低迷と共に、「給付の削減」と「負担の増加」は国民の生活を圧迫し、健康を脅かしている。このことに背を向け、社会保障を削り込んで、国民にいっそうの犠牲と我慢を求めているのが財政審の建議である。

(『東京保険医新聞』2017年6月15日号掲載)