【シリーズ】参議院選挙後の患者負担増計画 (5)/要介護1・2も保険はずし、自己負担2割化

公開日 2016年06月25日

患者負担増計画は医療分野だけにとどまらない。

「医療・介護総合法」では、全国に160万人いる要支援1・2の人への訪問介護・デイサービスが介護保険から外され、市区町村の事業に移されることとなった。

全国の自治体では、要支援に対する介護予防・日常生活支援総合事業が順次始まっているが、準備状況やサービス内容にばらつきがある。また、財源がないとして一部のサービスを打ち切っている市町村もあり、今後の影響が懸念される。

こうした介護保険はずしは要支援者にとどまらず、約230万人、介護認定者全体の4割を占める要介護1・2についても給付を大幅に削減する案がすでに厚労省内で議論され始めている。

現在10万3,000人が利用している掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助サービスや、車椅子等を1割負担でレンタルできる福祉用具貸与サービス、20万円を限度に必要な費用を給付する住宅改修サービスを、すべて全額自己負担にしてしまう計画だ。通所介護や居宅介護

支援についても要支援同様、介護保険から外して自治体の事業へ移管する(下図)。

図_要介護1・2の人は「介護保険サービス」が受けられなくなる

追い討ちをかけるように政府は、介護保険の利用者負担割合についても見直しを進めようとしている。すでに2015年から一定以上の所得のある人のみ2割負担とされているが、来年(2017年)の国会で、全ての人を原則2割負担とすることを目論んでいる。

介護保険制度発足から15年以上が経過し、団塊の世代が75歳以上を迎える2025年まで10年を切った。「保険あってサービスなし」―40歳から高い保険料を負担し続けても将来必要な介護・生活援助サービスを受けられないのでは、もはや保険制度の体をなさない。この制度改悪案は、参議院選挙が終わればすぐに議論が始まる。決して、見過ごすわけにはいかない。

(『東京保険医新聞』2016年6月25日号掲載)