保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【シリーズ】参議院選挙後の患者負担増計画(3)/高齢者の自己負担額上限を引き上げる

公開日 2016年06月05日

図_高齢者の自己負担上限引き上げ

医療保険の自己負担が高額になる場合に利用できる「高額療養費制度」は、1973年に創設され、現在は「現役世代(69歳以下)」と「70歳以上」とでそれぞれ異なった月額自己負担上限額が設けられている。

2015年10月9日の財政制度等審議会では、「世代間・世代内での負担の公平をはかる」という名目で、高齢者の月額上限を現役世代と同じ水準にすべきとし、2016年末までの早期に結論を得ることを提言した。

先行して2015年1月からは「現役世代」の月額自己負担上限額を引き上げ(3区分から5区分へ)、これに続くかたちで高齢者の引き上げが狙われている。

在宅では「在宅時医学総合管理料(5,400点等)」や「在宅酸素療法指導管理料(2,400点)」、「酸素濃縮装置加算(4,000点)」など高い報酬設定が目立つが、実際には高齢者の上限額「4万4,400円」や「1万2,000円」に届かない患者も多い。まして外来通院だけではほとんどの高齢者がその恩恵を受けられないのが現状だ。

参院選を前に、世代間の対立をあおる政府・与党だが、選挙が終われば、給付抑制が待ち構えている。昨年8月からの介護保険利用料2割への引き上げでも、“所得の高い高齢者”とは名ばかりで、その対象は単身者・年金収入のみの場合で280万円以上であった。

厚労省のデタラメな試算が国会で明らかになったにもかかわらず、「切り詰めれば負担に耐えられる」と引き上げを強行したことは記憶に新しい。

国民の生活を無視した高額療養費の改正は、負担割合の引き上げとともに大きな影響をおよぼす、まさにいのちに関わる問題だ。仮に“負担能力に応じた負担を求める”と言うのであれば、選挙前に判定基準と立案の根拠となった数字が本当に実態に即したものか否か国民に明らかにすべきではないか。

(『東京保険医新聞』2016年6月5日号掲載)