鼻腔・咽頭拭い液採取料は1日1回の算定 厚労省、複数回の算定認めず 一片の事務連絡で解釈覆す

公開日 2016年05月05日

今次改定で新設され、綿棒等で鼻腔や咽頭をぬぐって検体を採取し、検体検査をした場合に算定できるとされた「鼻腔・咽頭拭い液採取料」(5点)について、2016年4月25日付けで厚労省事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その2)」が出され、同日に複数検体の検査を行った場合でも、複数回の算定が認められず、1日につき1回の算定となることが明示された。

「この疑義解釈は納得できない」

点数表告示では「1日につき」といった文言は入っておらず、告示上は1日に複数回算定できると考えられる。それを事務連絡一つで覆す「解釈」は到底納得できるものではない。

インフルエンザや溶連菌など鼻腔・咽頭拭い液の迅速検査自体が同日に複数回の実施が可能であるのに、加算のみが1日1回のみの算定に限るということは現場にとっては理解しがたいことだ。

また、疑義解釈の発出が遅きに失したことで、発出前に1日に複数回算定した場合の取り扱いについて医療事務に混乱が予想される。

このような手法がまかり通るのであれば、現場での診療報酬算定を萎縮させる効果を生み、健全な健康保険制度の運営は困難となる。ひいては国民が受ける医療の質の低下をもたらす。国民の健康を担保する制度を厚労省自身が崩壊に向かわせることは全くもって容認できない。

東京保険医協会は、少なくとも疑義解釈が示される以前の算定についてはレセプトの返戻や減点を行うべきではないことを支払機関側へ要望することや、厚労省への抗議文等を提出することを検討している。

(『東京保険医新聞』2016年5月5・15日合併号掲載)