他院退院1カ月以内の算定が可能に――特定疾患療養管理料など 協会の要求実る

公開日 2016年04月15日

2016年4月診療報酬改定については、本紙でもさまざまな問題点を指摘してきたが、運動の成果と呼べるものもあった。その一つが、退院後1カ月は特定疾患療養管理料等は算定できないとする制限について、自院からの退院に限ることが留意事項通知に明記されたことだ(表)。

表 退院日から1カ月を経過した日以降でなければ算定できない取り扱いが、自院からの退院の場合に限ると明記された項目
・特定疾患療養管理料
・小児科療養指導料
・てんかん指導料
・難病外来指導管理料
・皮膚科特定疾患指導管理料
・小児悪性腫瘍患者指導管理料
・耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料

2015年4月に国保中央会から厚労省に質問が出され、厚労省が「自院・他院を問わず、退院から1カ月以内の特定疾患療養管理料は算定できない」との解釈を示したため、他院からの退院1カ月以内の算定が理由と思われる減点が増えていた。こうした理不尽な運用に対する不満の声は全国から上がり、保団連が昨年7~8月にかけて実施した全国会員アンケート(回答5,081件)でも、44.9%が「廃止すべき」、40.1%が「自院の入院に限るべき」と回答し、全体の85%が改善を求めていた。

保団連が、この結果を示して改善を求めた際にも厚労省の担当者は一定の理解を示していたが、今回の改定においてわれわれの要求が明確に盛り込まれた。

このことは、力を合わせて声を上げていけば要望が実現できることを示している。協会はこれからも保険医の要求を集約し実現に向けて活動していく。会員の先生方にもより一層のご協力を賜りたい。

保険医の要望で実現した主な項目(外来)

○特定疾患療養管理料など退院から1カ月以内の算定不可が自院に限ると明記
○栄養食事指導料の対象患者を拡大
○創傷処置、爪甲除去など処置料の引き上げ
○採血料、細菌培養同定検査などを引き上げ
○皮内、皮下及び筋肉注射、点滴注射などの引き上げ
○他院受診の入院医療機関の減算率が緩和
○維持期リハの経過措置が延長、廃用症候群リハが独立し実質対象疾患が拡大、医療機関外の場所でのリハを認める、運動器リハ1など一部リハ点数の引き上げ
○往診料に休日の加算を追加
○集合住宅等訪問診療料を203点に引き上げ
○医療機関からの訪問看護指導料・精神科訪問看護指導料の引き上げ
○在宅時医学総合管理料等で月1回訪問の場合も算定可能に
○在宅自己注射指導管理料に複数医療機関の算定を認める要件緩和、段階が簡素化
○難病の対象拡大…難病外来指導管理料、在宅での重症者要件等、小児慢性では小児科療養指導料等で対象を拡大
○手術料を約300項目引き上げ、緊急帝王切開術を前回改定前の水準に戻す

(『東京保険医新聞』2016年4月15日号掲載)