公開日 2017年07月18日

荒川支部は6月28日、支部例会を開催し、14人が参加した。
今回は、「トラブルを回避する従業員雇用のノウハウ」をテーマに、社会保険労務士の石田仁氏が解説した。
石田氏は、「労働条件の一方的な引き下げを行うと、それは不利益変更の原則から無効となる。ただし、変更した条件が法令に触れず、職員の納得が得られれば有効の余地がある」と述べた。
雇用トラブルの際は、「よりましな方策が結果的に円満な解決となる。経営者は腹が立ってもそれを抑え、職員を怒らせてはいけない」と、職員に接する際の使用者の心構えを説いた。
従業員を新たに雇う際の面接では、イエス、ノーといった一言で答えられない設問など、質問内容の工夫が重要であるとした。
また、10人以上(パートも含め)働いている職場では就業規則を作成する義務がある。なお、10人未満の職場でも最低限「労働契約書」(※下記表参照)は作らなければならない、と強調した。
明示する事項は下記のとおり。その他については任意。パートについては、昇給、賞与、退職金の有無が必須。 | |
①始業、終業の時刻 | ⑥残業の有無 |
②休憩時間 | ⑦契約期間 |
③休日、休暇 | ⑧契約更新の有無と判断基準 |
④交替制 | ⑨就業の場所と業務の範囲 |
⑤給与の決定、計算・支払い方法、締め切り・支払時期 | ⑩退職に関する事項(解雇理由も含む) |
参加者から「当院は週休2日、正月とお盆に各5日休みをとっているが、その各5日の休みに年給をあててもいいのか」という質問があり、石田氏は「職員の了解が得られれば差し支えない」と回答した。
荒川支部では、今後も診療や医院経営に役立つテーマを選び、支部例会を開催することにしている。
(『東京保険医新聞』2017年7月15日号掲載)